レオナルド・ジャルディム

レオナルド・ジャルディム：若手育成と戦術的柔軟性を武器とする名将

レオナルド・ジャルディムは、1974年8月1日ベネズエラでポルトガル人両親のもとに生まれ、その後ポルトガルのマデイラ島で育ったサッカー指導者です。プロ選手としての経験はありませんが、大学時代から指導者の道を志し、卒業後は子供や女子チーム、さらにはハンドボールチームの指導も経験するなど、幅広い指導歴を積んできました。

指導者としてのキャリアは、2001年にマデイラ島のADカマーシャのアシスタントコーチとしてスタート。2003年にはわずか27歳で監督に就任し、5シーズンに渡りチームを率いました。その後、SCベイラ・マルでは1年でプリメイラ・リーガ昇格を成し遂げ、SCブラガではリーグ13連勝というクラブ新記録を樹立。UEFAチャンピオンズリーグ出場権獲得に貢献するなど、着実に実績を重ねていきました。

2012年にはギリシャのオリンピアコスFCでUEFAチャンピオンズリーグを経験。翌年にはスポルティングCPの監督に就任し、下部組織出身の若手選手を積極的に起用。ジョアン・マリオ、ウィリアム・カルヴァーリョ、セドリック・ソアレスといった才能を開花させ、チームをUEFAチャンピオンズリーグ出場圏内の2位に導きました。

2014年、ジャルディムはフランスリーグ・アンのASモナコと契約を結びます。ハメス・ロドリゲスやラダメル・ファルカオといった主力選手を失うという逆境の中、キリアン・エムバペ、ベルナルド・シウバといった若手選手を積極的に起用。UEFAチャンピオンズリーグではベスト8進出を果たすなど、チームを躍進させました。

そして2016-17シーズン、ジャルディムはモナコに17年ぶりのリーグ優勝をもたらします。UEFAチャンピオンズリーグでも準決勝に進出するなど、その手腕は高く評価され、リーグ・アン年間最優秀監督賞を受賞しました。攻撃的なサッカーで107得点を挙げ、シーズン終盤は20試合無敗という圧倒的な強さを見せつけました。

しかし、成功の裏には苦悩もありました。2017-18シーズンは、エムバペやベルナルド・シウバらの主力選手が移籍。UEFAチャンピオンズリーグではグループリーグ敗退を喫し、リーグ戦でも順位を落としました。2018-19シーズンは開幕から低迷し、10月には解任されます。しかし、後任のティエリ・アンリがわずか3ヶ月で解任されると、ジャルディムは2019年1月にモナコ監督に復帰。再びチームを率いましたが、同年12月に再び解任されました。

2021年にはサウジアラビアのアル・ヒラルSFCの監督に就任し、AFCチャンピオンズリーグ優勝という新たなタイトルを獲得しました。

ジャルディムの戦術は、4-4-2をベースに、FWに自由を与えつつも守備への参加を促す、バランスの取れたスタイルです。特に若手選手の育成と抜擢には定評があり、モナコ時代にはエムバペ、ベルナルド・シウバ、フェレイラ・カラスコ、バカヨコ、レマル、ファビーニョら数々のスター選手を育成・開花させました。ファビーニョのMFコンバートも、彼の柔軟な選手起用と育成能力の高さを示す好例と言えるでしょう。

レオナルド・ジャルディムは、若手育成と戦術的柔軟性、そして結果を残す能力を兼ね備えた、現代サッカー界を代表する名将の一人と言えるでしょう。今後の活躍にも期待がかかります。

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