レオナルド・レーオ

レオナルド・レーオ（Leonardo Leo, 1694年 8月5日 - 1744年 10月31日）は、盛期バロックから前古典派への過渡期にあたる時代のイタリアの作曲家です。フルネームはリオンアルド・オロンツォ・サルヴァトーレ・デ・レオ（Lionardo Oronzo Salvatore de Leo）。特にナポリ楽派の重要な一員として、オペラや教会音楽の分野で多大な功績を残しました。

生涯

現在のイタリア、ブリンディジ県サン・ヴィート・デイ・ノルマンニにあたるナポリ王国のサン・ヴィート・デリ・スキアヴォーニで生まれました。

彼の音楽教育は、1703年にナポリの著名な音楽学校、コンセルヴァトーリオ・デッラ・ピエタ・デイ・トゥルキーニに入学したことから始まりました。ここではまずフランチェスコ・プロヴェンツァーレに師事し、後にニコラ・ファーゴの下で学びを深めました。かつてはジュゼッペ・オッターヴィオ・ピトーニやアレッサンドロ・スカルラッティにも師事したという説があり、確かに彼らの音楽からの影響は認められますが、直接教えを受けた証拠は明確ではないようです。

作曲家としての活動は比較的早くから始まり、確認されている最も古い作品は1712年に書かれた聖劇『L'infedelta abbattuta』で、これは学友たちの手によって上演されました。

公的な舞台への登場は1714年、宮廷劇場でのオペラ『Pisistrato』の上演によってでした。その後、レーオはナポリ王立礼拝堂で様々な役職を歴任し、宮廷音楽家としての地位を確立しました。この間、彼はオペラや教会音楽といった幅広いジャンルの作品を生み出すとともに、音楽学校で教育者としても後進の指導にあたりました。

彼のオペラ作品の中でも、特に喜歌劇は高い評価を得ています。1722年にフランチェスコ・ガスパリーニのオペラ『Bajazette』のナポリ公演のために喜劇的な場面を追加した経験が、彼の喜歌劇創作に影響を与えたのかもしれません。ナポリ語による喜歌劇としては、『La’mpeca scoperta』（1723年）や『L'Alidoro』（1740年）などがあります。最も有名な喜歌劇は『Amor vuol sofferenze（または、La Finta Frascatana）』（1739年）であり、同時代のフランスの文筆家シャルル・ド・ブロスによって絶賛されました。

一方、彼の作品には、『デモフォーンテ』（1735年）、『Parnace』（1737年）、『オリンピアーデ』（1737年）といった seria（重厚な内容）のオペラや、数多くの教会音楽も含まれています。これらの作品は、彼の作曲家としての多才さを示しています。

レーオは1744年 10月31日、50歳で生涯を閉じました。死因は脳卒中とされています。彼はちょうど、自身の最も成功した喜歌劇の一つである『Amor vuol sofferenze』の再演のために新しいアリアを作曲している最中でした。

作風

レオナルド・レーオは、現代の倍音を用いた対位法の技法を、ナポリ楽派の作曲家として初めて習得した人物の一人と見なされています。彼の音楽は、この進んだ技法に裏打ちされています。

教会音楽に関しては、彼の作品は感情的な激しさよりも、熟練した技巧、威厳、そして論理的な構成によって特徴づけられます。フランチェスコ・ドゥランテやジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージといった同時代のナポリ楽派の作曲家に見られる感傷的な表現とは一線を画しています。

オペラにおいては、そのスタイルに明確な違いが見られます。重厚な内容を持つオペラ・セーリア作品は、しばしば様式に厳格に従い、やや硬質な印象を与えることがあります。これに対し、喜歌劇作品では、彼の鋭いユーモアのセンスが光り、生き生きとした音楽が展開されます。

アンサンブル曲についても、彼の作品は力強く勇ましい響きを持ちますが、劇的なクライマックスへと向かうような強い推進力は比較的控えめであると言われます。

彼の作品は後世にも影響を与え、イギリスの作曲家チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードは、レーオの教会音楽『主は言われたハ長調』を校訂し出版するなど、その価値は再認識されました。今日でも、彼のオペラのいくつかは上演される機会があり、バロック期のイタリア音楽を知る上で重要な作曲家の一人です。

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