レオポルト・モーツァルト国際ヴァイオリン・コンクール

レオポルト・モーツァルト国際ヴァイオリン・コンクール

レオポルト・モーツァルト国際ヴァイオリン・コンクール（Internationaler Wiolinwettbewerb Leopold Mozart; International Violin Competition Leopold Mozart）は、ドイツ南部バイエルン州のアウクスブルク市で開催されていた国際的な音楽コンクールです。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの父であり、自身も著名なヴァイオリニスト、作曲家、教育者であったレオポルト・モーツァルトの名を冠し、世界の若いヴァイオリン奏者の才能を発掘し、そのキャリアを支援することを目的としていました。

このコンクールは1987年にその第一歩を踏み出し、以降は原則として4年ごとに開催される国際的なイベントとして定着しました。設立当初は、アウクスブルク市とニュルンベルク＝アウクスブルク音楽大学が共同で主催を担っており、アウクスブルクの文化的な催しとしても重要な位置を占めていました。

コンクールは回を重ねるごとに国際的な評価を高め、多くの才能あるヴァイオリニストたちがこの舞台で腕を競い合いました。歴代の入賞者には、後に国際的なキャリアを築いた演奏家も多く名を連ねています。本選では、協奏曲やソナタといった古典的なレパートリーに加え、現代作品や委嘱作品が課されることもあり、参加者には幅広い音楽性が求められました。

賞は、最高位である第1位をはじめ、第2位、第3位、そして時には第4位が設けられました。また、特定の演奏や作品解釈に贈られる特別賞、聴衆の投票による聴衆賞、若い審査員による若手音楽家審査員賞、ユース奨励賞など、様々な賞が設けられ、多様な才能や努力が評価される機会が提供されました。

しかしながら、2019年に開催された第10回コンクールを最後に、その歴史に幕が下ろされることとなりました。この第10回は、レオポルト・モーツァルトの生誕300周年という記念すべき年に開催されましたが、コンクール運営のための財政的な課題が深刻化し、以降の開催は断念せざるを得ない状況となりました。

約30年以上にわたり、若手ヴァイオリニストたちの登竜門として機能し、多くの素晴らしい演奏家を世に送り出したレオポルト・モーツァルト国際ヴァイオリン・コンクールは、惜しまれつつもその幕を閉じました。その歴史の中で、世界中から集まった若い才能たちが示した情熱と輝きは、アウクスブルクそして世界の音楽界に確かな足跡を残しました。

以下に、過去に開催されたコンクールの主な入賞者を記します。

第1回（1987年）
第1位：イザベル・ファウスト（ドイツ）
第2位：シグルーン・エスヴァルドスドッティル（アイスランド）
第3位：Sang Mee Lee（アメリカ）、Annette Behr-König（ドイツ）
第2回（1991年）
第1位：ベンヤミン・シュミット（オーストリア）
第2位：服部譲二（日本）、Kyung-Sun Lee（韓国）
第3回（1995年）
1位なし
第2位：Felicitas Clamor-Hofmeister（ドイツ）、植村理葉（日本）
第3位：瀬﨑明日香（日本）
第4位：Nicolai Satschenko（ロシア）
特別賞：Mari Suzuki（日本）ほか
第4回（1999年）
第1位：レナ・ノイダウアー（ドイツ）
第2位：Bogdan Zvoristeanu（ルーマニア）
第3位：Katja Lämmermann（ドイツ）
第4位：荻原尚子（日本）
資金援助：永井公美子（日本）ほか
第5回（2003年）
第1位：キム・スーヤン（韓国）
第2位：イェウン・チェ（韓国）
第3位：ソフィア・ヤッフェ（ドイツ）
第4位：マーカス・タンバーガー（ドイツ）
特別賞：岡崎慶介（日本）ほか
奨学金：有希・マヌエラ・ヤンケ（ドイツ）
第6回（2006年）
第1位：Yura Lee（韓国）
第2位：Gahyun Cho（韓国）、有希・マヌエラ・ヤンケ（ドイツ）
ユース奨励賞：小林美樹（日本）ほか
第7回（2009年）
第1位：Jehye Lee（韓国）
第2位：Friederike Starkloff（ドイツ）
第3位：ロマン・パトチュカ（チェコ）
特別賞（委嘱作品賞）：寺内詩織（日本）
ユース奨励賞：篠原悠那（日本）ほか
第8回（2013年）
第1位：Maia Cabeza（アメリカ/カナダ）
第2位：Jonian-Ilias Kadesha（ギリシャ/アルバニア）
第3位：Thomas Reif（ドイツ）
第4位：Young Uk Kim（韓国）
ユース奨励賞：城戸かれん（日本）ほか
第9回（2016年）
第1位：Ji Won Song（韓国）
第2位：何子毓（中国）
第3位：Jae Hyeong Lee（韓国）
特別賞（シュヴァーベン室内楽）：篠山春菜（日本）
ユース奨励賞：菊川穂乃佳（日本）ほか
第10回（2019年）
第1位：ジョシュア・ブラウン（アメリカ）
第2位：Karisa Chiu（アメリカ）
第3位：大江馨（日本）
* ユース奨励賞：中島菜穂子（日本/アメリカ）ほか

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