レオポルト2世 (神聖ローマ皇帝)

レオポルト2世の統治とその影響

レオポルト2世（1747年5月5日 - 1792年3月1日）は、1790年から1792年までの短い期間、神聖ローマ皇帝を務めた人物である。彼の全名はペーター・レオポルト・ヨーゼフ・アントン・ヨアヒム・ピウス・ゴットハルト・フォン・ハプスブルク＝ロートリンゲンであり、オーストリア女大公マリア・テレジアとフランツ1世の子として生まれ、次兄ヨーゼフ2世の弟である。

トスカーナ大公としての改革

1765年にトスカーナ大公として継承したレオポルトは、1770年に母の摂政が終わると積極的に啓蒙的な改革を推進した。特筆すべきは、彼が1769年に死刑の執行を停止し、1786年にはヨーロッパで初めて死刑を全面的に廃止したことである。この他にも、彼は財政を健全化させるために軍の縮小を行い、余剰金を税率の引き下げに充てるという施策を進めた。

また、憲法の起草を試みるが、その内容が革新的すぎて実施には至らなかった。他にも、種痘の制度化や精神障害者の病院入院を規定する法律を成立させるなど、社会福祉の向上に寄与した。

皇帝としての課題

1790年に兄のヨーゼフ2世が死去すると、レオポルトは帝位を継承し、皇帝としての苦しい任期が始まった。彼は進歩的な意見を持っていたものの、兄の改革によって引き起こされた混乱を鎮めるために、農奴制の維持や賦役の復活といった反動的政策を選択せざるを得なかった。その一方で、彼は質素な生活を好み、遺産を増加させることに成功した。

レオポルトの治世では外的な脅威も多かった。彼はロシア皇帝エカチェリーナ2世の動きに注意を払い、外交の駆け引きを行った。その中でフランス革命の影響が懸念される中、イギリスとの連携を進め、プロイセンとの同盟の形成を試みた。また、ピルニッツ宣言を発表することでフランス側の怒りを買い、結局フランス革命戦争を引き起こす要因となった。

経済および文化政策

レオポルトは冷遇もあったが、チマローザなどの音楽家に支援を行ったり、高名な劇作家であるダ・ポンテを国外追放するなど、文化政策に対して基本的に理解が薄かった。しかし、その治世であってもトスカーナを盛り上げる一環として、音楽や演劇に微細な影響を及ぼす場合も多数見受けられた。

家族と私生活

レオポルトはスペイン王家出身のマリア・ルドヴィカを妻に迎え、彼女との間に16人の子供を設けた。夫婦仲は概ね良好であったが、レオポルトは後に踊り子リディア・ライモンディに心を奪われたこともある。妻は最初は豪華さに圧倒されたものの、最終的には夫の質素な暮らしに適応していった。

しかしながら、レオポルトは1792年に短い治世を終え、息子のフランツがその後を継ぐこととなった。彼の生涯は多くの挑戦があったが、啓蒙主義者としてのビジョンは後の世代に影響を与える要素となっていった。

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