レオポルト3世 (アンハルト＝デッサウ公)

レオポルト3世フリードリヒ・フランツ：啓蒙専制君主の理想

レオポルト3世フリードリヒ・フランツ（1740年8月10日 - 1817年8月9日）は、アンハルト＝デッサウ侯（後に公爵）として、啓蒙主義の理念に基づいた数々の改革を推し進めました。「フランツ侯」または「フランツ親父」として親しまれた彼は、領民の生活向上と領地の発展に尽力し、その治世はアンハルト＝デッサウ侯領の黄金時代とされています。

生涯

1740年、レオポルト2世の長男として生まれたレオポルト3世は、1751年に11歳で侯位を継承。叔父ディートリヒの摂政のもと、1758年に親政を開始しました。当初は父祖と同様にプロイセン軍に入隊したものの、コリンの戦いでの悲惨な経験から戦争の虚しさを痛感し、軍を退役。アンハルト＝デッサウ侯領の中立を宣言しました。

レオポルト3世は、啓蒙思想とアングロフィリア（イギリス贔屓）の信奉者であり、領民の教育、健康、社会福祉、道路整備、農業・森林開発、産業振興など、多岐にわたる分野で改革を断行しました。これらの改革は、当時のドイツ小諸侯によるものとしては、最も近代的かつ成功した事例の一つとして評価されています。

庭園王国と建築

レオポルト3世の功績として特筆されるのは、デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国の造営です。彼は、建築家のフリードリヒ・ヴィルヘルム・フォン・エルトマンスドルフに命じ、ドイツ初の新古典主義建築であるヴェルリッツ宮殿を建設（1769年 - 1773年）。さらに、妻ルイーゼのために、イギリス式庭園に囲まれたシュロス・ルイジウム（ルイーゼの城館）を造営しました。また、オラニエンバウムにあったオランダ式庭園を拡張し、大規模なイギリス式庭園を造営。これらの庭園群は、デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国として世界遺産に登録されています。

政治と晩年

レオポルト3世は、プロイセンの覇権に抵抗し、1785年に成立した君侯同盟とは一線を画しました。1806年にはナポレオン・ボナパルトにパリへ招待されるなど、その名声はヨーロッパ中に広まっていました。1807年にはライン同盟に加盟し、公爵に陞爵。1812年には、若年のアンハルト＝ケーテン公ルートヴィヒ・アウグストの摂政に就任しました。

1817年、レオポルト3世はシュロス・ルイジウムで落馬事故により死去。後継者である長男フリードリヒに先立たれていたため、公爵位は孫のレオポルト4世が相続しました。

子女

1767年、ブランデンブルク＝シュヴェート辺境伯フリードリヒ・ハインリヒの娘ルイーゼと結婚。一男をもうけました。また、多くの愛妾との間に多数の庶子をもうけました。

レオポルト3世は、啓蒙専制君主の理想を体現した人物として、その名は歴史に刻まれています。彼の改革精神と領民への愛情は、今日でも多くの人々に感銘を与え続けています。

もう一度検索