レオン・スペンサー

レオン・スペンサー（Leon Spencer, 1945年11月1日 - 2012年3月11日）は、アメリカ合衆国テキサス州ヒューストンに生まれたジャズ・オルガニストです。彼は主に1970年代初頭に、ジャズ・オルガンをフィーチャーした作品群で知られるプレスティッジ・レコードを中心に活躍しました。

スペンサーは、自身のキャリアにおいて様々なミュージシャンとの共演経験を持ちます。特にピアノ奏者のデヴィッド・ニューマンや、同じくオルガニストであるメルヴィン・スパークスとは、音楽的な交流を深めました。

彼の活動のピークとも言えるのが、1970年代初頭のプレスティッジでの録音です。この時期、彼はレーベルを代表する多くのセッションに参加しました。中でも特筆すべきは、バディ・コールドウェル、アイドリス・ムハマッド、そしてオルガニスト仲間のメルヴィン・スパークス、さらには当時頭角を現し始めていたサックス奏者のグローヴァー・ワシントン・ジュニアといった面々との共演です。

プレスティッジでは、自身の名義によるリーダー・アルバムも複数発表しています。1970年にはデビュー作となる『スニーク・プレビュー!』（Sneak Preview!）をリリース。続く1971年には『ルイジアナ・スリム』（Louisiana Slim）、1972年には『バッド・ウォーキング・ウーマン』（Bad Walking Woman）、そして1973年には『Where I'm Coming From』と、この短期間に計4枚のアルバムを発表し、リーダーとしての個性的なサウンドを提示しました。

リーダー作に加えて、スペンサーは数多くの著名なアーティストのレコーディングに参加し、ジャズ・オルガン奏者として不可欠な存在感を示しました。その参加作品は多岐にわたります。

特に重要なものとしては、サックス奏者ルー・ドナルドソンがブルーノート・レコードから発表した複数の作品があります。1970年の『プリティ・シングス』（Pretty Things）やライヴ盤『ザ・スコーピオン：ライヴ・アット・ザ・キャデラック・クラブ』（The Scorpion: Live at The Cadillac Club）、そして1971年の『コスモス』（Cosmos）といったアルバムで、彼のオルガンを聴くことができます。

また、共に活動したメルヴィン・スパークスのプレスティッジ作品にも参加しています。1970年の『スパークス』（Sparks!）、1971年の『スパーク・プラグ』（Spark Plug）、1972年の『アキラ』（Akilah!）などが挙げられます。

他にも、サックス奏者ラスティ・ブライアントの1971年のプレスティッジ盤『ファイアー・イーター』（Fire Eater）や、サックス奏者ソニー・スティットの複数のプレスティッジ作品、例えば『Turn It On!』（1971年）、ジーン・アモンズとの共演作『ユー・トーク・ザット・トーク！』（You Talk That Talk!, 1971年）、そして『Black Vibrations』（1971年）などでも演奏しています。

さらに、ギタリストのウィルバート・ロングマイアーの初期のアルバム、ワールド・パシフィックから1969年にリリースされた『Revolution』や、1976年のJ&Mからの『This Side of Heaven』にも参加しています。キャリア後年には、2001年にブルーノートからリリースされたサックス奏者カール・デンソンの『Dance Lesson #2』にも名前を見つけることができます。

レオン・スペンサーは、短い活動期間ではありましたが、特に1970年代初頭のソウル・ジャズやファンキー・ジャズといったジャンルにおいて、その堅実なバッキングと印象的なソロで多くの名盤に貢献しました。彼のリーダー作品や、数多くのセッション参加を通じて残された録音は、今なおジャズ・オルガンの豊かな響きを伝えています。

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