レカイ

レカイ：ハイチ南西部の歴史と自然が織りなす港町

レカイは、カリブ海の真珠、ハイチ共和国南西部の沿岸に位置する活気ある都市です。人口は約5万人と推定され、南県の行政の中心地として重要な役割を担っています。

地名と地理

レカイという地名は、沖合に浮かぶ大小の島々、グランド・カイやプティト・カイなどに由来し、「カイの街」を意味するとされています。ラヴィヌディシド川（南部渓谷）の河口北岸に位置しており、その立地から、ハリケーンシーズンにはしばしば洪水の被害に見舞われます。しかし、その一方で、ヴァシュ島への船便が出ているなど、海運の要衝としての役割も担っています。

アントワーヌ・シモン空港も擁し、空路によるアクセスも確保されています。

歴史の重みと観光地としての魅力

レカイの歴史は古く、1503年にはスペイン人によってサルバティエラ・デ・ラ・サバナ砦が築かれました。その後、フランス領サン＝ドマング時代には砂糖、コーヒー、バナナ、木材の輸出港として大きく発展しました。1726年には、ルイ15世の命により、ド・ラ・ランスの設計で街が建設され、その後の発展の基礎を築きました。

ハイチ革命においては、レカイも大きな影響を受け、多くの犠牲者を出しました。しかし、同時に、革命を象徴する出来事も起こっています。1803年7月には、カン・ジェラール（レカイから数キロの地点）でジャン＝ジャック・デサリーヌとニコラ・ジェフラール将軍が会談し、協定を結びました。また、1814年のクリスマスイブには、解放者シモン・ボリバルがレカイを訪れ、貴重な支援を受けました。これはボリバルの独立戦争において重要な転換点となりました。

近年では、2021年8月14日に発生した大地震により、多くの建物が倒壊し、甚大な被害を受けました。

今日、レカイはカテドラルや砦の遺跡など、歴史的な建造物が数多く残る観光地として知られています。ポルトープランスからの観光客も多く訪れ、ハイチの歴史と文化に触れることができます。守護聖人は被昇天の聖母で、8月15日が祝日となっています。

人々の息遣いと未来への展望

レカイの街は、歴史の重みと自然災害の脅威の中で、人々がたくましく生きている場所です。1995年の推計人口は4万5904人でしたが、現在も人口増加が続いています。

レカイには、歴史に名を残す著名な人物も多く輩出しています。ハイチ革命の指導者アンドレ・リゴー、著名な画家・鳥類学者ジョン・ジェームズ・オーデュボン、そして数々のハイチ大統領など、その活躍は多岐に渡ります。

幾多の困難を乗り越えてきたレカイは、その歴史と文化、そして人々の強さを未来へと繋いでいくでしょう。観光業の発展、インフラ整備、そして地震からの復興など、課題は多く残されていますが、その魅力的な街並みと豊かな歴史は、世界中の人々を惹きつけ続けています。

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