レクラム出版社

レクラム出版社は、ドイツ語圏で著名な出版社であり、特に「レクラム文庫」（Universal-Bibliothek）の出版元として広く知られています。1828年にアントン・フィリップ・レクラムによってライプツィヒで創業され、当初は図書館、文学博物館、印刷業も兼ねていました。

歴史

レクラム文庫は1867年に創刊され、文芸、哲学、自然科学、社会科学など、広範なジャンルの書籍を廉価で提供し続けています。この活動は、ドイツ語圏の人々の知識向上と教育に大きく貢献しており、遠く離れた日本でも、ドイツ語圏の文化に触れる上で欠かせない存在となっています。また、日本の文庫本の先駆けである岩波文庫は、レクラム文庫をモデルにしています。

創業当初、ドイツには図書に関する著作権法が存在せず、廉価での出版が困難でした。しかし、1867年に著作権保護期間を著者の死後30年とする法律が制定されたことで、レクラム出版社は自由な出版活動を展開できるようになりました。

レクラム文庫の記念すべき第1号は、ゲーテの『ファウスト』でした。同時に、レッシングの『賢者ナータン』、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』なども刊行され、文学、哲学、オペラ、古典など、多様なジャンルの作品が月10冊というハイペースで出版されました。これにより、書籍が人々に広く行き渡り、ドイツ語圏の知識向上に大きく貢献しました。学者や文人からも熱烈な支持を受けました。

その後も刊行は続き、1959年には1,000巻を突破、2017年現在では約3,500タイトルが出荷可能です。二度の世界大戦で大きな打撃を受けたものの、現在は「レクラム文庫」に加え、ハードカバーの専門書やCD-ROMなどの電子メディアも刊行しています。

レクラム文庫は、ドイツ語圏の文化と知識の普及に大きく貢献しただけでなく、日本の文庫本文化にも影響を与えた、重要な存在と言えるでしょう。

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