レコルダティ

レコルダティ社：グローバル医薬品メーカーの軌跡

レコルダティ社（Recordati Industria Chimica e Farmaceutica S.p.A.）は、イタリア・ミラノに本社を置く医薬品メーカーです。世界30カ国以上に現地法人を持ち、その製品は150カ国以上で販売されています。イタリア証券取引所にも上場しており、国際的な医薬品市場において重要な役割を果たしています。

創業からグローバル展開へ

レコルダティ社の歴史は、1926年に遡ります。創業者ジョヴァンニ・レコルダティは、エミリア＝ロマーニャ州のコッレッジョで薬局に隣接するラボラトリを経営していました。慢性疾患治療薬の開発に情熱を注いだ彼は、独立してLaboratorio Farmacologico Reggianoを設立、医薬品製造に着手しました。

その後、事業は息子のアリゴ・レコルダティへと引き継がれ、1953年にはミラノに本社を移転。1961年にはアメリカ合衆国のSyntex Laboratories, Inc.とのライセンス契約を締結、1963年には新たな工場をラツィオ州カンポヴェルデに開設するなど、積極的な事業拡大を続けました。1984年には株式を上場し、より大きな成長の基盤を築きました。

国際展開は1995年、スペインへの現地法人設立から始まりました。その後も、フランス企業の買収（Doms Adrian、Bouchara）や、ドイツ、イギリスなどへの進出など、着実にグローバル市場への進出を進めました。

希少疾患治療薬への特化

レコルダティ社の事業戦略において重要な転換点となったのは、2007年のOrphan Europe社の買収です。希少疾患治療薬に特化したOrphan Europe社は、Recordati Rare Diseasesとしてレコルダティ社の一部門となり、同社の事業ポートフォリオに大きな変化をもたらしました。

2012年には、この部門を通じてアメリカ市場へ参入。デンマークのルンドベック社から、希少疾患治療薬の販売権を取得しました。この戦略は成功を収め、希少疾患治療薬は現在、レコルダティ社の売上の約3分の1を占めています。アメリカ合衆国、イタリア、フランス、スペイン、ドイツなどが主要市場となっています。

日本市場への進出

レコルダティ社は、日本市場にも積極的に進出しています。2018年10月には、日本法人のレコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社が設立されました。東京に本社を置く同社は、カーバグル、ジャクスタピッド、シグニフォーなど、希少疾患治療薬の販売を行っています。

まとめ

レコルダティ社は、創業以来、慢性疾患治療薬から希少疾患治療薬へと事業領域を拡大し、グローバルな医薬品メーカーとして成長を続けています。イタリア発祥の企業ながら、世界中に拠点を持ち、多様な国や地域の医療ニーズに対応しています。希少疾患治療薬への特化は、同社の独自性を示すものであり、今後ますますその重要性を増していくでしょう。今後も、革新的な医薬品の開発と提供を通じて、世界中の患者に貢献していくことが期待されます。

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