レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード

レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード

『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』（原題: Once Upon A Time In Mexico）は、2003年に公開されたアメリカのアクション映画です。監督・脚本・製作を務めたのはロバート・ロドリゲス。本作は、彼のキャリアを代表する『マリアッチ』三部作の堂々たる完結編であり、先行する『エル・マリアッチ』（1992年）、『デスペラード』（1995年）に続く作品として位置づけられています。

物語の概要

物語の中心にいるのは、そのギターケースに隠された銃で伝説となった凄腕のガンマン、エル・マリアッチです。彼はかつて、愛する女性カロリーナと幼い娘を非情なマルケス将軍の手によって奪われ、その心に深い復讐の念を抱いています。彼の孤独な放浪は、やがてメキシコの暗部に蠢く巨大な陰謀へと巻き込まれていきます。

メキシコ国内に潜入しているCIAの狡猾な工作員サンズは、巨大な麻薬組織を率いるバリヨとマルケス将軍が手を組み、政府転覆を企てているという重大な情報を掴みます。サンズは自身の目的のために、このクーデタ計画を阻止すべく、伝説のガンマンであるエル・マリアッチに接触します。サンズはマリアッチにマルケス将軍の暗殺を依頼し、監視と護衛を兼ねて現地の部下ククイをつけます。復讐の機会を得たマリアッチは、旧知の仲間であるロレンソとフィデオに協力を求め、再び戦いの舞台に身を投じます。

一方、サンズはバリヨによって同僚を殺された過去を持つ元FBI捜査官のラミレスにも目をつけます。サンズはラミレスのバリヨへの恨みを利用し、彼を自身の計画に引き込もうとします。メキシコから逃亡を図っていたラミレスは、バリヨの側近であるアメリカ人逃亡犯のビリーと接触。自身の逃亡と引き換えに、バリヨに関する情報と協力を約束させます。このように、複数の思惑が複雑に絡み合い、事態は予測不能な方向へと進んでいきます。

政府側も手をこまねいているわけではありません。不法に密輸された大量の銃器の行方を追跡するため、アヘドレス率いる部隊を派遣します。しかし、このアヘドレスもまたサンズと秘密裏に通じており、共にバリヨの資金を横取りしようと共謀しています。あらゆる人物が自らの利益や復讐のために動き、物語は一層の混迷を極めていきます。

事態は急展開を見せます。政府部隊はバリヨが入院している病院を急襲しますが、バリヨはすでに整形手術を終えて巧妙に逃走した後でした。病院に潜入していたラミレスは、逆にバリヨの手下によって捕らえられてしまいます。さらにサンズも、信頼していたアヘドレスに裏切られます。彼女こそが、バリヨの娘だったのです。捕らえられたサンズは、両目をえぐられるという苛烈な拷問を受け、光を失います。

クライマックスは、メキシコが「死者の日」の祭りで熱狂に包まれる中で訪れます。マルケス将軍によるクーデタ計画が実行に移され、街は政府軍と反乱軍との激しい市街戦と化します。エル・マリアッチとその仲間たちは、大統領を守るため官邸への潜入を試みます。視力を失いながらも九死に一生を得たサンズは、偶然出会った物売りの少年に助けられ、驚異的な聴覚と本能を頼りに官邸へと向かいます。彼は盲目のガンマンとして覚醒し、行く手を阻むバリヨの部下たちを次々と撃破し、裏切り者アヘドレスにも制裁を加えます。

大統領に迫るマルケス将軍の前に、ついに宿敵エル・マリアッチが立ち塞がります。積年の恨みを晴らすべく、二人は一対一の決闘を行い、マリアッチが勝利を収めマルケスを打ち倒します。同じ頃、ビリーの手引きで解放されたラミレスがバリヨの一味の前に姿を現します。マリアッチの加勢を得て、ラミレスはついにバリヨを討ち取り、同僚の仇を討ち果たします。

激しい戦いの果て、クーデタは阻止され、それぞれの目的を果たした者たちは去っていきます。マリアッチの仲間たちは報酬を受け取り、それぞれの道へ。そしてエル・マリアッチもまた、愛するカロリーナと娘の思い出を胸に、静かに人々の前から姿を消すのでした。

キャスト・スタッフ

本作では、主人公エル・マリアッチをアントニオ・バンデラスが再び演じます。奇妙ながらも魅力的なCIA工作員サンズをジョニー・デップ、復讐に燃える元FBI捜査官ラミレスをルーベン・ブラデス、悪役バリヨをウィレム・デフォー、そして囚われの身からキーパーソンとなるビリーをミッキー・ロークが演じるなど、豪華な俳優陣が集結しています。監督であるロバート・ロドリゲスは、スピーディな展開、スタイリッシュな映像、そしてメキシコの文化や音楽を取り入れた独特の世界観で、三部作を鮮やかに締めくくっています。

もう一度検索