レゾルシノール

レゾルシノール：性質、合成、用途、安全性

レゾルシノール(resorcinol)は、ベンゼン環のメタ位に2つのヒドロキシ基(-OH)が結合した、芳香族化合物です。別名ベンゼン-1,3-ジオールとも呼ばれます。無色の結晶性固体で、水に溶けやすい性質を持っています。カテコールやヒドロキノンとは異性体関係にあり、その化学構造の違いによって性質も異なります。

レゾルシノールの合成

レゾルシノールは、主に以下の方法で工業的に合成されます。

1. ベンゼン-1,3-ジスルホン酸からの合成: ベンゼン-1,3-ジスルホン酸をアルカリ溶融することでレゾルシノールを得ます。
2. クメン法からの合成: クメン法は、プロピレンとベンゼンからクメンを合成し、その後酸化、分解する過程で、副産物として1,3-ジイソプロピルベンゼンが生成されます。この1,3-ジイソプロピルベンゼンを酸化することでレゾルシノールを得る方法が確立されています。石油化学コンビナートでの大量生産に適した手法です。

これらの合成法により、大量生産されたレゾルシノールは、様々な用途に用いられています。

レゾルシノールの性質

レゾルシノールは、常温常圧では無色の結晶性固体として存在します。しかし、光に不安定で、空気中の酸素と反応しやすく、光に長時間さらされると酸化し、ピンク色に変色する性質があります。そのため、保存には注意が必要です。

レゾルシノールは2つのヒドロキシ基を持つため、[水]]素結合を形成しやすく、分子間力が強いことが特徴です。このため、沸点]と[融点]は比較的高くなっています。一方、ヒドロキシ基をメトキシ基に置換した1,3-ジメトキシ[ベンゼンは、水素結合が弱いため[[沸点]と[融点]はレゾルシノールよりも低くなります。

また、レゾルシノールは水素結合を形成できるため、水や他の極性溶媒に溶けやすい性質を持っています。さらに、フェノール性ヒドロキシ基を持つことから、弱酸性を示し、水溶液のpHは4～6程度です。

レゾルシノールの用途

レゾルシノールは幅広い用途を持ち、その需要の半分以上はタイヤコードの接着剤原料として占められています。その他、主な用途としては以下のものが挙げられます。

接着剤原料: タイヤコード接着剤、木材接着剤
樹脂添加剤: 難燃剤、紫外線吸収剤
蛍光染料原料: フルオレセイン(ガレイン)の合成
医薬品: ニキビ治療剤(ピーリング剤)として5～15%濃度で使用されます。20%濃度までは安全性が確認されていますが、妊婦への使用は十分な注意が必要です。
* 殺菌剤・防腐剤: 還元力を利用した殺菌・防腐作用も有しています。

レゾルシノールの安全性

レゾルシノールは、医薬品や化粧品にも使用される一方で、取り扱いには注意が必要です。高濃度での使用や、妊婦への使用に関しては、安全性が十分に確認されていないため、注意が必要です。また、光や空気への接触により変質する可能性があるため、適切な保存が必要です。

主要メーカー

レゾルシノールを製造する主なメーカーとしては、杭州Amino-chem、住友化学、ランクセス、Atulなどが挙げられます。三井化学とIndspecは既に製造から撤退しています。住友化学は、大分工場に新たなプラントを建設し、生産体制を強化しています。

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