レッスルマニア13

レッスルマニア13: 名勝負と陰り、そして新たなスターの誕生

1997年3月23日、アメリカ合衆国で開催されたレッスルマニア13は、プロレス団体WWF（現WWE）にとって年間最大のイベントでした。この大会は、数々の名勝負や出来事でプロレス史に刻まれることとなりますが、華やかな表舞台の裏には、WWFを取り巻く厳しい状況も存在していました。

史上最高の試合の一つ：ハート vs オースチン

大会を象徴する出来事としてまず挙げられるのは、ブレット・ハートとストーンコールド・スティーブ・オースチンのサブミッションマッチです。両雄は、激しい攻防を繰り広げ、観る者を魅了する名勝負を展開しました。この試合は、両選手にとってもキャリアにおける最高峰の出来事の一つとして記憶されており、後にWWEが発売したレッスルマニアXXのDVDにも収録されるほど高い評価を得ています。プロレス専門誌『プロレスリング・イラストレーテッド』と『レスリング・オブザーバー』は、この試合を1997年の年間最高試合に選出しました。特にオースチンはこの試合で業界内での評価を飛躍的に高め、多くのファンの支持を獲得することとなります。

アンダーテイカーの戴冠とアクシデント

WWF王座を賭けた試合では、ジ・アンダーテイカーがサイコ・シッドを破り、王座に輝きました。しかし、アンダーテイカーは試合前日に交通事故に遭い負傷していたにもかかわらず、リングに上がり見事勝利を収めたのです。このアンダーテイカーの闘志と不屈の精神は、多くのファンに感銘を与えました。

ショーン・マイケルズの欠場と憶測

一方、大会を前にロイヤルランブルでWWF王座を獲得していたショーン・マイケルズは、膝の怪我を理由にレッスルマニア13を欠場しました。しかし、この欠場に関して、ブレット・ハートの高額契約金獲得に対する報復措置として、ビンス・マクマホンが意図的にマイケルズを欠場させたのではないかという憶測も流れていました。

WWFを取り巻く厳しい状況

1997年当時、WWFはライバル団体WCWに人気で押され、経営的に苦しい状況にありました。レッスルマニア13も、その影響を色濃く反映しており、大会全体の盛り上がりや派手さは、過去の大会と比較して控えめなものとなりました。PPVの売上も、レッスルマニア史上最低レベルの20～30万件程度だったと推定されています。

その他の試合

レッスルマニア13では、WWF王座戦以外にも、多くの試合が開催されました。ビリー・ガンとフラッシュ・ファンクのフリー・フォー・オール・マッチ、ザ・ヘッドバンガーズとニュー・ブラックジャックスなど複数チームによるWWFタッグ王座挑戦者決定戦、ロッキー・メイビアとザ・サルタンによるWWFインターコンチネンタル王座戦など、様々なカードが組まれ、観客を熱狂の渦に巻き込みました。また、オーエン・ハートとブリティッシュ・ブルドッグのタッグチームは、マンカインドとベイダーとの防衛戦に勝利しています。リージョン・オブ・ドゥームとネーション・オブ・ドミネーションによるシカゴ・ストリート・ファイトも、激しい試合展開で会場を沸かせました。

まとめ

レッスルマニア13は、ブレット・ハートとストーンコールド・スティーブ・オースチンの歴史に残る名勝負によって記憶される大会となりました。しかし、その陰には、WWFの経営難や、ショーン・マイケルズの欠場という暗い影も存在していました。この大会は、新たなスターの誕生と、WWFが直面していた困難の両方を象徴するイベントとして、プロレス史に刻まれています。

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