レッスルマニアXIV

レッスルマニアXIV：プロレス史に残る伝説の一夜

1998年3月29日、アメリカ合衆国で開催されたレッスルマニアXIVは、WWE（当時WWF）の歴史に刻まれた、記憶に残る大会となりました。この大会では、PPVの受信世帯数が初めて70万世帯を突破するという快挙を達成。興行規模の拡大を示す、大きな成果となりました。

大会を最も盛り上げたのは、何と言ってもメインイベントのWWF王座戦です。この試合には、元ボクシング世界ヘビー級王者マイク・タイソンがスペシャルレフェリーとして参加。タイソン起用は、プロレス界のみならず、世界中から大きな注目を集め、100人を超える報道関係者が世界各地から集まりました。

タイソン出場に至る経緯は、大会の約半年前に放送された『ロウ・イズ・ウォー』に遡ります。ビンス・マクマホンがタイソンをリングに招き、レッスルマニアのメインイベントへの参加を発表。しかし、バックステージにいたストーンコールド・スティーブ・オースチンはこれに反発。リングに乱入し、タイソンを痛烈に批判、ついには乱闘騒ぎに発展しました。この騒動には、後にレッスルマニアXXIVでオースチンと対戦することになるフロイド・メイウェザー・ジュニアもタイソンの陣営として関わっていたという、興味深い事実も残されています。

試合では、タイソンはショーン・マイケルズと共闘するヒール（悪役）として登場。しかし、試合終盤、オースチンがマイケルズに得意技「スタナー」を決めると、タイソンは驚くべき行動に出ます。なんと、高速カウントでオースチンの勝利を認め、彼の初戴冠を祝福したのです。この衝撃的な展開に会場は騒然。その後、裏切られたマイケルズがタイソンに詰め寄り、パンチを放ちますが、タイソンはこれをカウンターで返し、マイケルズをノックアウト。タイソンはベビーフェイス（正義の味方）として観客の喝采を浴び、大会は幕を閉じました。

この出来事後、ショーン・マイケルズは『ロウ・イズ・ウォー』でタイソンのパンチによるダメージを理由にセミリタイアを宣言。WWFを一時離脱します。（実際の理由は、長年のハードバンプによる椎間板ヘルニアの悪化と言われています。）タイソンには、この一試合で300万ドルという巨額のギャランティーが支払われたと伝えられています。

2010年には、RAWのゲストホストとしてタイソンがWWEに再登場。D-Xとの因縁を再び燃え上がらせました。試合終盤、タイソンはまさかの行動でD-Xとの和解を果たし、観客を驚かせました。

レッスルマニアXIVでは、メインイベント以外にも多くの見どころがありました。日本人レスラーとして初めてシングルマッチに出場したTAKAみちのくの活躍も記憶に残る出来事。WWFタッグ王座戦では、ダンプスター・マッチという過激な試合形式が採用され、会場を熱狂させました。その他、WWFライトヘビー級王座戦、WWFヨーロピアン王座戦、WWFインターコンチネンタル王座戦など、数々のタイトルマッチが繰り広げられ、大会を盛り上げました。

レッスルマニアXIVは、マイク・タイソンの衝撃的な登場、そして予想外の結末によって、プロレス史に燦然と輝く伝説の大会となりました。その興奮と感動は、今も多くのファンの心の中に生き続けています。

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