レット・イット・ビー (曲)

レット・イット・ビー

「レット・イット・ビー」（Let It Be）は、ビートルズが1970年3月にリリースしたシングルで、ポール・マッカートニーが作詞作曲を手掛けました。シングルのB面には「ユー・ノウ・マイ・ネーム」が収録されており、この楽曲はビートルズというバンドの最後のシングルとなります。アルバムおよび映画も同名で公開され、この楽曲のアレンジはプロデューサーのジョージ・マーティンとフィル・スペクターにより異なるものが施されています。

背景

マッカートニーは1968年、ビートルズが分裂の兆しを見せている中で、母メアリー・マッカートニーの訪れを夢に見たことが曲作りのきっかけとなったと語っています。母が伝えた「あるがままを受け入れなさい」という言葉が彼の創作に影響を与え、この楽曲のテーマを形成しました。メアリーは14歳の時に亡くなっており、マッカートニーにとって彼女の思い出は深いものです。これにより、歌詞中の「Mother Mary」という表現が聖母マリアを示すものとして解釈されることがありますが、マッカートニー自身はどちらの解釈も受け入れていると述べています。

レコーディング

「レット・イット・ビー」の初期バージョンは、アルバム『ザ・ビートルズ』の制作時にすでに存在しており、いくつかのセッションで演奏されていました。具体的には、1968年9月の「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」のセッションなどでその姿を見ることができます。1969年には映画『レット・イット・ビー』の撮影に合わせてリハーサルが行われ、最終的にはAppleスタジオでレコーディングが進められました。最終セッションでレコーディングされたテイクがオフィシャルバージョンとして使用されています。

リリースとチャート成績

シングルはイギリスで1970年3月6日にリリースされ、アメリカでは3月21日付のBillboard Hot 100で初登場6位、4月11日には1位を獲得しました。この曲のリリース時に、マッカートニーがビートルズからの脱退を宣言したことから、結果的にこの曲がビートルズの活動中に発表された最後のシングルとなりました。

評価

楽曲は多くの音楽評論家から高評価を受け、宗教的なテーマやマッカートニーの演奏を称賛されています。特に『NME』誌からはその深い歌詞が評価され、他のメディアでも彼の最高の作品の一つとされました。ジョン・レノンはこの曲に関して、自らはあまり関与せず、マッカートニーの思いを理解できなかったと語っていますが、それでも「レット・イット・ビー」は文化的な影響を与える作品として広く浸透しました。

カバーと影響

この曲は多くのアーティストによってカバーされ、特にフェリー・エイドプロジェクトのバージョンは1987年に大ヒットしました。また、さまざまな公演で演奏され続け、多くのファンに愛されています。マッカートニーは自身のソロコンサートでもこの曲を演奏し続けており、彼のライブでは欠かせない存在となっています。2012年にはエリザベス2世の即位60周年を祝うセレモニーでも演奏され、時代を超えて多くの人々に感動を与え続けています。

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