レット・ザ・グッド・タイムス・ロール (ルイ・ジョーダンの曲)

レット・ザ・グッド・タイムス・ロール

「レット・ザ・グッド・タイムス・ロール（Let the Good Times Roll）」は、1946年にルイ・ジョーダンと彼のバンド、ティンパニ・ファイブによって録音されたジャンプ・ブルースの名曲です。この楽曲はミッド・テンポの12小節ブルースとして知られ、ブルースのスタンダード曲の一つとして広く認識されています。

作曲と背景

この曲の作詞は、ニューオーリンズ出身のブルース歌手でソングライターであるサム・シアードによるものです。ただし、共作者として記載されているのはジョーダンの妻であるフリーシー・ムーアです。これは契約上の理由で、ジョーダンは自身の作品に彼女の名前を載せることで発表時のトラブルを回避することが多く、これによりフリーシーは実際には歌詞を一度も書いたことがありませんでした。その後、二人は離婚し、権利の問題が生じましたが、フリーシーは自らの名が記された曲の収入をジョーダンに一切渡さなかったのです。

映画と演奏

ジョーダンとティンパニ・ファイブは、1947年の映画『Reet, Petite, and Gone』でこの曲を演奏しましたが、実際のサウンドトラックにはスタジオ録音が使用されていました。このように、映画における表現力を活かすためにスタジオ録音が選ばれた背景には、当時の音楽制作の現場における工夫が感じられます。

チャートでの評価

「レット・ザ・グッド・タイムス・ロール」は、1947年には『ビルボード』誌のR&Bチャートで最高2位に達し、その人気は「エイント・ノーバディ・ヒア・バット・アス・チキンズ」という曲のB面ながらも、大きな影響を残しました。この2曲は、約半年間にわたってチャート入りを果たしました。

さらに、2009年にはグラミーの殿堂入りを果たし、2013年もブルース・ファウンデーションによって「ブルース録音の古典」部門で殿堂入りをしたことからも、この曲の重要性が伺えます。

他のアーティストによる演奏

多くのアーティストたちが「レット・ザ・グッド・タイムス・ロール」を演奏しており、特にB.B.キングはスタジオ版とライブ版の両方でこの曲を録音しています。加えて、ボビー・ブランドやトニー・ベネットとの共演バージョンも存在し、ジャンルを超えて多くの音楽ファンに楽しまれてきました。また、この楽曲は1992年のミュージカル・レビュー『Five Guys Named Moe』や1980年公開の映画『ブルース・ブラザース』でも取り上げられており、その影響範囲の広さが伺えます。

同名異曲について

「レット・ザ・グッド・タイムス・ロール」には同名の異曲が存在します。1956年にシャーリー・アンド・リーによって制作された楽曲も同じタイトルですが、全く異なる内容となっているため、注意が必要です。また、アール・キングの「Come On」も、別名として「レット・ザ・グッド・タイムス・ロール」として知られています。

このように、「レット・ザ・グッド・タイムス・ロール」は、音楽史において重要な位置を占める楽曲であり、今も多くの人々に親しまれています。

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