レット・ミー・ビー・ゼア

「レット・ミー・ビー・ゼア」（Let Me Be There）は、1973年にリリースされたオリビア・ニュートン＝ジョンの代表曲の一つです。同名のアルバム『レット・ミー・ビー・ゼア』に収録されました。

この楽曲は、オリビアがイギリス生まれ、オーストラリア育ちでありながら、アメリカのカントリーミュージックのテイストを巧みに取り入れたナンバーとして知られています。その親しみやすいメロディーと彼女の透き通るような歌声が相まって、大きな成功を収めました。

特にアメリカ合衆国においては、オリビアにとって初めてのトップ10入りを果たした記念碑的なシングルとなりました。ビルボードのポップ・チャートでは最高位6位を記録し、彼女の知名度を一気に押し上げるきっかけとなりました。また、カントリーチャートでも健闘を見せています。

この曲の成功は、評価の面でも顕著でした。1974年に開催された第16回グラミー賞において、「レット・ミー・ビー・ゼア」はオリビアに最優秀女性カントリー・ヴォーカル・パフォーマンス賞をもたらしました。これは、彼女がカントリー・ポップというジャンルで確固たる地位を築きつつあったことを示す重要な受賞でした。

楽曲のサウンド面では、リードボーカルに加えて、マイク・サムズが特徴的な低い声（バス）でハーモニーを重ねている点が印象的です。このハーモニーが、楽曲全体に深みと温かさを加えています。

「レット・ミー・ビー・ゼア」は、オリビア・ニュートン＝ジョンを一躍スターダムにのし上げた出世作と言えるでしょう。この曲を機に、彼女はカントリー・ポップのアイコンとして世界的な人気を獲得していきます。

この楽曲は、多くのアーティストによってカバーされています。中でも特筆すべきは、キング・オブ・ロックンロール、エルヴィス・プレスリーによるカバーです。エルヴィスは、1977年に亡くなるまで数多くのライブでこの曲を披露しました。そのライブ音源もいくつか残されています。

最も有名なエルヴィスのカバー音源の一つは、1974年3月20日にテネシー州メンフィスで行われたコンサートでの録音です。この時のパフォーマンスは、同年のライブ・アルバム『ライヴ・イン・メンフィス (Elvis Recorded Live on Stage in Memphis)』に収録されました。さらに、この音源は、エルヴィスの生前最後のアルバムとして1977年7月19日にリリースされた『ムーディ・ブルー』の5曲目にも収められています。

カントリー歌手のタニヤ・タッカーもこの曲をカバーしています。彼女は、ゴールドディスクを獲得した1974年のアルバム『Would You Lay with Me (In a Field of Stone)』の中で「レット・ミー・ビー・ゼア」を取り上げました。タニヤ・タッカーによるバージョンもまた、その後のベストアルバムなどにしばしば収録されるなど、広く知られています。

このように、「レット・ミー・ビー・ゼア」は、オリビア・ニュートン＝ジョン自身のキャリアにおける重要な節目となっただけでなく、他の著名なアーティストにも影響を与え、時代を超えて歌い継がれている名曲と言えるでしょう。

もう一度検索