レッドデリシャス

レッドデリシャス

レッドデリシャスは、アメリカ合衆国原産のリンゴの栽培品種です。1870年頃に偶然発見された実生に由来し、親品種は特定されていません。デリシャスやスタークデリシャスとも呼ばれています。

特徴

果実は長円錐形で、がくあ部（果柄の反対側のくぼみ）の周囲に5つの突起がある特徴的な形をしています。果皮は赤く、熟すと濃い紫紅色になることもあります。果肉はクリーム色で緻密、シャキシャキとした食感を持ちます。果汁が多く甘みが強いですが、酸味は少ないのが特徴です。また、蜜が入りやすい性質を持ちます。

栽培は比較的容易で、耐病性に優れ、豊産性です。

歴史

起源

レッドデリシャスは、アイオワ州のマディソン郡でジェシ・ハイアットによって発見されました。ハイアットは、自身の果樹園で自然に生えたリンゴの木を何度か伐採しましたが、そのたびに再生したため、実がなるまで放置しました。1872年、その木に素晴らしい実がなり、‘ホークアイ’と名付けられました。

1893年、種苗業者のスターク商会が新しいリンゴ品種を求めてコンテストを開き、ハイアットの‘ホークアイ’が出品され、最高賞を受賞しました。1894年、スターク商会はハイアットから‘ホークアイ’の全権利を買い取り、‘デリシャス’、‘スタークデリシャス’と改名しました。その後、スターク商会は黄色系の新しいリンゴ品種の権利も買い取り、‘ゴールデンデリシャス’と名付け、それまで‘デリシャス’と呼んでいた上記のリンゴ品種を‘レッドデリシャス’と改名しました。

生産の推移

レッドデリシャスはアメリカで急速に栽培されるようになり、1968年から米国で最も生産量の多いリンゴ品種となりました。1980年代には、ワシントン州で収穫されるリンゴの4分の3を占めていました。

しかし、1990年代に入ると‘ふじ’や‘ガラ’などの品種が米国で多く生産されるようになり、消費者の好みが変化し、レッドデリシャスの需要は低下しました。2018年には、ついに‘ガラ’が‘レッドデリシャス’を抜き、米国における生産量最大の品種となりました。

現在でもレッドデリシャスの生産量は多く、2022–2023年のアメリカ合衆国におけるリンゴ生産では、品種別で第2位となっています。ヨーロッパでも、品種別で第3位です。トルコでは、デリシャス系品種の生産量が最も多くなっています。

日本には1913年に導入されました。1965年頃までは‘国光’や‘紅玉’が主要品種でしたが、その後、デリシャス系品種の生産が最も多くなりました。しかし1981年に‘ふじ’に抜かれ、急速に生産量が減少しました。

派生品種

枝変わり

レッドデリシャスには、枝変わりに由来する品種が多数あります。最もよく知られたものとして‘スターキングデリシャス’があります。他にも、‘Idaho Delicious’、‘Oregon Spur’、‘Starkspur Supreme’、‘リチャードデリシャス’、‘スタークリムゾンデリシャス’、‘Wellspur Delicious’などがあります。

交配

レッドデリシャス（またはデリシャス系品種）を交配親とした新たな品種も多数作出されています。‘ふじ’、‘世界一’、‘金星’、‘エンパイア’、‘はるか’などが代表的な品種です。

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