レッドブル・RB14

レッドブル・RB14：ルノーPU最終章とホンダ契約への序章

レッドブル・レーシングは、2018年F1世界選手権を戦うマシンとして、レッドブル・RB14を開発しました。チーフテクニカルオフィサーのエイドリアン・ニューウェイが中心となって開発されたRB14は、2月19日、特別カラーリングをまとってシルバーストン・サーキットでシェイクダウンを実施。前年マシンのRB13で発生した風洞データとの相関性の問題や、ルノー製パワーユニット（PU）の信頼性不足を背景に、例年よりも早い発表となりました。

RB14の大きな特徴は、フェラーリ・SF70Hを思わせるサイドポッド形状と、複雑な処理が施されたバージボードです。特にバージボードは、スペインGP以降、さらなるアップデートが加えられました。このRB14は、後に発表されるホンダとのPU供給契約により、レッドブルにとって最後のルノーPU搭載マシンとなりました。2019年から2年間の契約締結は、6月19日に正式発表されています。

2018年シーズンの苦闘と輝き

ドライバーは、ダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンの両名が続投しました。プレシーズンテストでは前年よりは改善が見られたものの、幾度かのトラブルに見舞われ、不安を残したままシーズン開幕を迎えます。

開幕戦オーストラリアGPではダブル入賞とまずまずのスタートを切りましたが、シーズン全体としては好不調の波が激しく、特にリカルドはマシントラブルに悩まされました。フェルスタッペンも荒い走りが見られる場面が散見されました。バーレーンGPではダブルリタイア、中国GPではリカルドが逆転勝利を飾る一方フェルスタッペンは接触事故。アゼルバイジャンGPでは同士討ちによるダブルリタイアと、序盤は苦戦を強いられました。

転機となったのはスペインGP以降。安定したパフォーマンスを見せ始め、モナコGPではリカルドがキャリア2度目のポールポジションを獲得。決勝ではPUトラブルに見舞われながらも、見事ポール・トゥ・ウィンを達成し、2年前の悔しさを晴らしました。一方、フェルスタッペンはフリー走行でのクラッシュにより後方スタートも、素晴らしい追い上げを見せ9位入賞を果たしました。

カナダGPとフランスGPではフェルスタッペンが2度の表彰台を獲得。そしてチームのホームグランプリであるオーストリアGPでは、フェルスタッペンがシーズン初勝利を挙げ、巻き返しに成功しました。しかしその後はトップ争いから脱落するレースが続きました。

終盤戦のメキシコGPでは、リカルドがポールポジションを獲得し、フェルスタッペンが2勝目を挙げましたが、リカルドはPUトラブルでリタイア。この際の消火剤がターボチャージャーを損傷し、ブラジルGPではグリッド降格ペナルティを受けるという不運に見舞われました。ブラジルGPではフェルスタッペンは表彰台に上るも優勝は逃しました。しかし、日本GPからメキシコGPにかけて5戦連続表彰台を獲得し、最終的にフェルスタッペンはドライバーズランキング4位を獲得。チームはコンストラクターズランキング3位を獲得しました。

シーズンを通して、リカルドのマシンはPU系のトラブルに悩まされ、フェルスタッペンとの信頼性の差は顕著でした。リカルドはシーズン終盤、後任となるピエール・ガスリーに残りの2戦のシートを譲ることを申し出るほどでした。それでも、チームは前年を上回るポイントを獲得し、トップ2との差を縮めることに成功しました。

RB14のスペック

RB14は、ルノーPU時代のレッドブル最後のマシンとして、その開発、レース、そしてホンダとの新たなパートナーシップへの移行という重要なシーズンを象徴する一台となりました。幾多の困難を乗り越え、チームとドライバーの成長を示したシーズンでもありました。

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