レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ

『レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ』（英語: The Song Remains the Same）は、1970年代に絶大な人気を誇ったイギリスのロックバンド、レッド・ツェッペリンのコンサートとプライベート映像を織り交ぜたセミ・ドキュメンタリー映画です。制作はピーター・グラント、監督はジョー・マソットとピーター・クリフトンが務め、1976年10月21日にニューヨークで公開されました。

制作の背景

当時、テレビ出演をほとんど行わなかったレッド・ツェッペリンの貴重なステージパフォーマンスを記録するため、以前から映画制作の企画がありました。1970年1月にはロイヤル・アルバート・ホールでのコンサートが撮影されましたが、公式には公開されませんでした（2003年にDVDで日の目を見ました）。その後も映画化の企画は何度か浮上しましたが実現せず、1973年5月にジョー・マソット監督がピーター・グラントに接触したことで、ようやく本格的に動き始めました。

当初グラントは乗り気ではありませんでしたが、同年夏のアメリカツアー中に考えを変え、マソットに撮影を依頼。マソットは急遽ツアーに同行し、ボルチモアやピッツバーグでテスト撮影を行い、7月27日から29日にかけて、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われた3連続公演を35mmフィルムで撮影しました。サウンド・エンジニアのエディ・クレイマーは24トラックのモービル・ユニットを使用して演奏を収録しました。

しかし、撮影は順調には進まず、使用可能なフィルムは3日間でわずか2時間17分ほどしかないことが判明しました。そこで、ピーター・クリフトンが2人目の監督として就任し、不完全な映像を補完するため、コンサートのロングショットやワイドショットを音声トラックに合わせて編集し、リールに繋ぎ合わせるという手法が採用されました。また、欠落部分を補うために、マディソン・スクエア・ガーデンのステージをスタジオに再現し、バンドに演奏してもらうという大掛かりな再撮影も行われました。さらに、メンバーそれぞれの幻想シーンも撮影され、これらの素材を組み合わせて映画は完成しました。

映画の構成

本作は単なるコンサートの記録映画ではなく、メンバーのプライベートな一面や内面世界を描いた幻想シーンが挿入されているのが特徴です。

オープニング: ピーター・グラントがギャングに扮し、海賊版業者を殺戮するシーン。
プライベート・シーン: メンバーがそれぞれの家族と過ごす幸せな家庭生活の様子。
コンサート・シーン: マディソン・スクエア・ガーデンでのライブパフォーマンス。
幻想シーン: 各メンバーの個性的な内面世界を表現した映像。
* エンディング: コンサートを終えたメンバーが故国へ帰るシーン。

コンサートでは、「ロックン・ロール」「ブラック・ドッグ」「天国への階段」など、レッド・ツェッペリンを代表する楽曲が演奏されています。また、幻想シーンでは、ジョン・ポール・ジョーンズが覆面を被った怪人物に、ロバート・プラントが神話の王子に、ジミー・ペイジが隠者に扮するなど、各メンバーの個性が際立つ演出が施されています。ジョン・ボーナムのシーンは、農場での生活や家族との触れ合いなど、彼の素顔を捉えたドキュメンタリーのような内容となっています。

公開後の評価

「レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ」は興行収入900万ドルを記録するヒット作となりましたが、批評家からは幻想シーンが冗長であるなど、必ずしも高い評価は得られませんでした。しかし、レッド・ツェッペリンの貴重なステージ映像を公式に記録した作品として、現在でも多くのファンに愛されています。

2007年にはリマスタリングされたDVDがリリースされ、未発表ライブ映像などの特典映像が追加されました。

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