レド公路

レド公路（レドこうろ）

レド公路はインドのアッサム州のレドから中国の雲南省昆明までを繋ぐ歴史的な道路で、ヒンディー語では「लेडो रोड」と呼ばれる。この公路は第二次世界大戦中、アメリカ軍とイギリス軍が中国に軍需物資を送るための重要なルートとして利用されました。1942年に日本軍の攻撃で遮断されたビルマ公路の代替路として建設され、1945年には蔣介石に因んで「スティルウェル公路」と名付けられました。

背景

19世紀に遡ると、イギリスの鉄道事業者たちは、インドとビルマの国境を越える交通路の調査を行いました。これにより、ビルマまで繋がる可能性が示唆されましたが、当初の計画は実現しませんでした。しかし、太平洋戦争が始まると、アメリカにとってアッサムとビルマ北部を結ぶこの道の建設が急務となりました。

日本軍に占領される前、物資の輸送は主にヒマラヤ山脈を越える空路に頼っていました。これがレド公路の建設を促す一因となりました。

建設作業

1942年の12月1日、イギリス軍とアメリカ軍の合同でレド公路の建設が始まりました。ジョセフ・スティルウェル将軍が指揮を執り、アッサム州のレドからビルマ公路の合流点となるモンユまでの建設が進められました。スティルウェルはこの公路により、毎月65000トンの物資輸送が可能になると期待していましたが、実際には困難が伴いました。

工事には15000人のアメリカ陸軍兵士と35000人の現地労働者が動員され、工事中には多くの人命が失われました。道路の建設作業は自然の厳しい環境や日本軍の圧迫の中で行われました。

建設は1942年12月から始まり、パトカイ山脈を越える難所であるパンソー峠では、急勾配と険しい地形が作業を困難にしました。それでも1943年の年末には、最初のブルドーザーがシンブイヤンに到達し、物資の供給が可能となりました。

物資輸送の実績

レド公路が開通した1945年1月12日には、113両の輸送トラックが昆明へ向けて出発しました。開通後の半年で12万9000トンの物資が運ばれましたが、実際の輸送量は期待を下回り、ハンプ越えの空輸にかなわない結果となりました。戦争終結直前には、陸路輸送よりも空路による輸送が多くの物資を効果的に運んでいました。

戦後とその後の状況

戦後、レド公路は補修されることなく、次第に荒廃していきました。1955年にロンドン＝シンガポール間の探検が最後の通行記録となっています。その後、インド政府が対ミャンマー国境を封鎖したことも、この地域へのアクセスを制限しました。

現在の状況

現在、ミャンマー政府はレド公路の再建を検討していますが、反政府勢力の活動が続く地域であるため、インド政府は慎重になっています。最近のレド公路通行の試みも、成果にはばらつきがあるものの、自由な交易が行われる状況も見られます。このレド公路は、第二次世界大戦の歴史の一部として様々な人々の記憶に残り続けているのです。

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