レビュー爆撃

レビュー爆撃（レビューばくげき、英語: Review bomb）とは

レビュー爆撃とは、インターネット上の特定の対象に対し、多数の否定的なレビューを短期間に集中して投稿する行為を指します。対象はゲーム、映画、アプリ、企業など多岐にわたり、その目的は対象の評判を落とし、売り上げや人気を損なうことです。

レビュー爆撃は、製品やサービスの質の低さに対する批判として発生することもありますが、政治的、文化的、あるいは倫理的な問題に対する抗議として行われることも少なくありません。特に企業が公のコミュニケーション手段を持たない場合や、ユーザーからのフィードバックに真摯に対応しない場合に、問題提起の手段として利用されることがあります。また、集団的な圧力や、単なる荒らし行為として行われるケースも見られます。

レビュー爆撃は、組織票やキャンセルカルチャーと共通する特徴を持っており、現代社会におけるインターネットの利用と影響力を考える上で重要な現象と言えるでしょう。

レビュー爆撃の起源

「レビュー爆撃」という言葉が使われ始めたのは、2008年にベン・クチェラがArs Technicaに投稿した記事がきっかけの一つとされています。この中でクチェラは、ゲーム『Spore』に対するユーザーの否定的なレビューが、Amazonでの評価に大きな影響を与えたことを解説しました。

レビュー爆撃の事例

レビュー爆撃は、特にゲーム業界で頻繁に発生しています。Steamなどのプラットフォームでは、ユーザーレビューがゲームの売上に大きな影響を与えるため、開発者やパブリッシャーに対する抗議手段として利用されることがあります。

ビデオゲームの例

Spore (2008年): デジタル著作権管理（DRM）システムへの批判
マスエフェクト3 (2012年): ストーリー展開への不満
The Elder Scrolls V: Skyrim (2015年): 有料MOD導入への反発
グランド・セフト・オートV (2017年): MODツールの停止命令への抗議
ニーアオートマタ|ニーア_オートマタ (2017年): 中国語対応への要望
スター・ウォーズバトルフロントII (2017年): アイテム課金システムへの批判
Gears 5 (2019年): 中国での販売中止への反発
コールオブデューティモダン・ウォーフェア (2019年): ロシア軍の描写への批判
Death Stranding (2019年): 内容への失望
ポケットモンスターソード・シールド (2019年): ポケモンのリストラへの不満
Warcraft III: Reforged (2020年): リマスターの品質への失望
The Last of Us Part II (2020年): ストーリー展開への不満

映画・テレビ番組の例

ゴーストバスターズ (2016年): キャスト変更への反発
キャプテン・マーベル (2019年): 主演女優への反感
スター・ウォーズ/最後のジェダイ|スター・ウォーズ_最後のジェダイ: 内容に対する意見の相違

アプリの例

Google Classroom (2020年): パンデミック中のオンライン授業への反発
TikTok (2020年): YouTuberのファンによる批判
ロビンフッド (2021年): 株取引制限への反発

レビュー爆撃への対策

レビュー爆撃の悪影響を軽減するため、レビュー収集サイトやプラットフォームは様々な対策を講じています。

レビューの遅延表示: 新規リリースされたゲームや映画に対するレビューの投稿を一定期間遅らせることで、感情的なレビューや組織的なレビュー爆撃を抑制する。
レビューのフィルタリング: 不適切なレビューや、ゲームの内容と関係のないレビューを削除する。
レビューのヒストグラム表示: 評価が時間経過とともにどのように変化したかを表示し、一時的なレビュー爆撃と長期的な評価を区別できるようにする。
レビューシステムの変更: レビューの信頼性を高めるために、購入者のみがレビューを投稿できるようにする。

レビュー爆撃の影響

レビュー爆撃は、対象となる製品やサービスの評判を大きく損なう可能性があります。しかし、レビュー爆撃が必ずしも売り上げの低下に繋がるとは限りません。むしろ、レビュー爆撃によって注目を集め、ストライサンド効果によって売り上げが増加するケースもあります。また、レビュー爆撃をきっかけに、開発者やパブリッシャーがユーザーの声に耳を傾け、製品やサービスを改善する動きもみられます。

レビュー爆撃は、インターネットにおける情報操作や集団心理の影響力を示す現象であり、その影響は多岐にわたります。企業や開発者は、レビュー爆撃のリスクを理解し、適切な対策を講じる必要があります。

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