レファレンス協同データベース

レファレンス協同データベースの概要

レファレンス協同データベース（略称：レファ協）は、国立国会図書館が全国の図書館と協力し、レファレンスサービスを支援するために構築されたデータベースです。2023年3月末の時点で、907の図書館がこのプロジェクトに参加しています。このデータベースは、全国の図書館がICT技術を活用してレファレンス業務を効率化するためのものであり、インターネットを通じて一般利用者が簡単にアクセスできるようになっています。そのため、デジタルレファレンスサービスの一環として広く認識されています。

目的

レファレンス協同データベースの設立目的は、公共図書館や大学図書館、専門図書館などでのレファレンス事例や調査方法に関する資料、特別コレクション、参加館の情報を整理し、インターネット上で提供することです。これにより、図書館および一般の利用者の調査や研究活動の支援を図ります。このプロジェクトは2002年から実験が行われ、2005年4月に正式に事業化されました。また、事例の記録・取り扱いは『レファレンス協同データベース標準フォーマット』に基づいて行われています。

参加機関と公開レベル

レファレンス協同データベースに参加できる機関は、学校教育法に基づく大学や高等専門学校の図書館、図書館法に則った図書館、官庁や公益法人、企業の図書館、学校図書館法の学校図書館関係者などに限られています。参加は無料で、各機関が提供するデータの公開レベルは、一般公開、参加館のみ、自館のみに参照と3段階に分かれています。特に一般公開では、登録されたレファレンス事例は10万件を超える数に達しています。

図書館にとっての意義

レファレンス協同データベースの登場により、図書館は過去のレファレンス事例を容易に参照できるようになり、情報の蓄積と活用が進みました。これにより、レファレンス活動が非効率的であった過去の課題が少しずつ改善されてきています。また、図書館員向けの研修教材やPR資料としても活用されるなど、その重要性が増しています。専門図書館の場合、特定分野のレファレンス事例を共有することで、資料の新たな価値の発見が期待されています。

利用者にとっての利点

一般の利用者にとって、レファレンス協同データベースは調査や研究のための情報源として非常に役立ちます。特に、大学図書館が公開する事例は、情報リテラシーの教材としても非常に価値があります。これらの事例を通じて、利用者はレファレンスサービスの重要性を理解し、自分自身の調査活動にも役立てることができます。

研究者や教員への影響

図書館情報学の研究者や司書課程の担当教員にとっては、レファレンス協同データベースは貴重な研究素材や教材としての役割を果たしています。例えば、慶應義塾大学では、このデータに基づいてパスファインダー作成をテーマにした実習型の講義が行われ、学生たちの実践的な学びが促進されています。

課題と展望

一方で、データの作成が図書館員の業務量を増加させるという課題も指摘されています。今後の発展においては、こうした業務負担を軽減しつつ、より多くの図書館が参加し、利用しやすいデータベースを構築していくことが求められています。レファレンス協同データベースは、情報の網羅性を高めることで、さらなる発展を遂げることが期待されているのです。

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