レフ・コニュス

レフ・エドゥアルドヴィチ・コニュス（1871年4月26日 – 1944年）は、ロシア帝国出身のピアニスト、音楽教育家、そして作曲家として活躍しました。彼の音楽的才能は、幼少期から開花し、後にモスクワ音楽院へと進学しました。

モスクワ音楽院では、アントン・アレンスキーの作曲科上級クラスに所属し、セルゲイ・ラフマニノフと机を並べるという幸運に恵まれました。彼らは、同じ志を持つ音楽家として、互いに刺激しあい、切磋琢磨しました。コニュスは、この時期に音楽家としての基礎を築き上げ、その後の活動に大きな影響を与えることになります。

モスクワ音楽院での教育活動は、1918年まで続きました。彼は、ピアノ科の主任教授として、多くの生徒を育成し、後進の指導に情熱を注ぎました。その指導力は高く評価され、彼のもとから多くの優れた音楽家が巣立っていきました。

しかし、1917年にロシア革命が起こると、コニュスの人生は大きな転換期を迎えます。ソビエト政府の政策に反感を抱いたコニュスは、1921年にパリへと亡命することを決意します。パリでは、ロシア音楽院（現在はラフマニノフ音楽院に改称）で教鞭を執り、再び音楽教育の分野で活躍しました。

コニュスの音楽家としての活動は、パリだけにとどまりませんでした。1935年にはアメリカ合衆国に渡り、オハイオ州シンシナティで教育活動に従事しました。73歳でこの世を去るまで、彼は音楽教育に生涯を捧げました。彼の教育を受けた生徒たちは、音楽の世界で重要な役割を果たすことになりました。

コニュスは、作曲家としての才能も持ち合わせていました。中でも、アレクサンドル・スクリャービンの《神聖な詩》と《法悦の詩》をピアノ4手用に編曲したことは、特筆すべき業績です。これらの編曲は、原曲の持つ魅力をさらに引き出し、多くの聴衆を魅了しました。コニュスの編曲によって、スクリャービンの音楽は、より多くの人々に知られることとなり、その普及に大きく貢献しました。

コニュスは、音楽一家の出身であり、彼の兄弟であるゲオルギー・コニュスとユーリ・コニュスもまた、音楽家として活躍しました。彼らは、音楽という共通の絆で結ばれた家族であり、互いに刺激しあいながら、それぞれの音楽活動を展開しました。

レフ・コニュスの生涯は、ロシア、フランス、アメリカという異なる文化圏で、音楽教育と創作活動に情熱を燃やし続けた、献身的な音楽家の姿を示しています。彼の音楽に対する情熱と、後進の育成への尽力は、後世に語り継がれるべきであり、彼の音楽遺産は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

もう一度検索