レフ・ユーリエヴィチ

レフ・ユーリエヴィチ（? - 1323年頃）は、ガーリチ・ヴォルィーニ公国の統治者ユーリーの子として生まれました。母はクヤヴィ公カジミェシュ1世の娘エウフェミアです。1308年より実質的にはガーリチ公、ルーツク公として国を治め、勅令においては「ガーリチ、ヴォルィーニ、全ルーシの地」の統治者という署名を残しています。

生涯

父ユーリーの死後、兄弟のアンドレイとその所領を共同統治しました。レフはガーリチを本拠地とし、アンドレイはヴォルィーニを拠点としました。兄弟の外交政策に関する史料上の初出は1316年のもので、ジョチ・ウルスやその他の敵に対抗するため、ドイツ騎士団と同盟を結んでいます。しかし、その後ゲディミナスの治めるリトアニア大公国との関係が悪化し、ドロギチン、ブレストをリトアニアに奪われることとなりました。

レフとアンドレイ兄弟は、史料によれば同年同日に戦死したとされていますが、その戦いがジョチ・ウルスとの戦闘であるとする説と、ポドリャシエを巡るリトアニアとの戦闘であるとする説があります。また、『リトアニア・ジェマイティヤ年代記』によれば、レフはリトアニア軍と共にイルピン川の戦いに参加し、この戦いで戦死したと記されています。

妻はノヴゴロド公ロマン・グレボヴィチの娘オリガです。ポーランドの年代記によれば、レフにはウラジーミルという名の息子がおり、リューリク朝最後のルーシ王であったとされています。

レフ・ユーリエヴィチの短い生涯は、当時のルーシ地方が置かれていた複雑な政治状況を反映しています。周辺諸国との同盟や対立、領土を巡る争いの中で、彼はガーリチ・ヴォルィーニ公国を維持するために奔走しました。彼の死後、公国は徐々に衰退していくことになります。

参考文献

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