レプタイル

アルバム概要

『レプタイル』（原題: Reptile）は、英国を代表するギタリスト兼シンガーソングライター、エリック・クラプトンが2001年に発表したスタジオ・アルバムです。彼のキャリアにおける円熟期に制作された本作は、クラプトンのルーツミュージックへの深い愛情と、個人的な感情が色濃く反映された作品として位置づけられています。

込められた想い

このアルバムの最も特筆すべき点は、クラプトン自身の個人的な背景、特に家族への想いが強く込められていることです。アルバムの装丁には、珍しく少年時代のクラプトンの写真が用いられており、彼のルーツや過去への回顧を思わせるデザインとなっています。さらに、本作に付属する英文ライナーノーツには、2000年に逝去した彼の叔父、エイドリアンに向けた心温まる追悼のメッセージが綴られています。インストゥルメンタル楽曲である「サン&シルヴィア」も、このエイドリアン叔父とその妻に捧げられたものです。このように、『レプタイル』は単なる音楽作品に留まらず、クラプトンにとって大切な人々への感謝と哀悼の念を表現する媒体ともなっています。

収録曲

本作には、クラプトン自身のペンによる楽曲に加え、彼が影響を受けてきた様々なジャンルのアーティストによるカバー曲がバランス良く収められています。収録曲は合計15曲（日本盤CDにはボーナス・トラックを含むと16曲）です。オリジナル曲としては、共作を含む「ブロークン・ダウン」、「セカンド・ネイチャー」、「スーパーマン・インサイド」などがあります。カバー曲は特にブルース、ソウル、AORといったクラプトンの音楽的基盤を形成するジャンルからの選曲が多く見られます。具体的には、J.J.ケイル、レイ・チャールズ、スティーヴィー・ワンダー、ジェームス・テイラーといった著名アーティストの楽曲が取り上げられています。これらの選曲は、クラプトンの音楽的ルーツへの敬意を表しています。また、日本盤CDにのみ収録されたボーナス・トラック「ルージング・ハンド」は、ブルースの古典です。インストゥルメンタル曲「サン&シルヴィア」は、前述の通り個人的なメッセージを持つ楽曲です。

参加ミュージシャン

『レプタイル』のサウンドは、エリック・クラプトン自身（ボーカル、ギター）を中心に、ワールドクラスのミュージシャンたちが集結して作り上げられました。ギターには、アンディ・フェアウェザー・ロウとドイル・ブラムホールIIが参加。キーボードセクションには、ポール・キャラック、ジョー・サンプルといったベテランに加え、ビリー・プレストン、ティム・カーモンが様々な鍵盤楽器を担当しています。リズム隊は鉄壁の布陣で、ベースにはピノ・パラディーノとネイザン・イースト、ドラムスには伝説的なセッション・ドラマーであるスティーヴ・ガッドが名を連ねています。さらに、パーカッションにパウリーニョ・ダ・コスタ、プログラミングにポール・ウォーラー、そしてコーラスには不朽のソウル・コーラス・グループであるインプレッションズが参加。これらの名手たちの共演により、『レプタイル』は、洗練されつつも温かみのある、聴きごたえのある作品に仕上がっています。

まとめ

『レプタイル』は、個人的な追悼というテーマを内包しつつ、クラプトンの音楽的なルーツを再確認するようなカバー曲の選曲と、世界最高峰のミュージシャンによる演奏が見事に融合したアルバムです。派手さはないものの、じっくりと聴き込むほどに味わいが深まる、円熟したクラプトンの魅力が詰まった一枚と言えるでしょう。

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