レモネード

レモネード：世界を巡るレモンの風味

レモネードは、レモン果汁に砂糖や蜂蜜などの甘味料を加え、水で割った清涼飲料です。熱湯で割ればホットレモネードとして楽しむこともできます。一見シンプルですが、その姿は国や地域によって驚くほど多様性に富んでいます。

北米：夏の風物詩と手軽な楽しみ

アメリカ合衆国とカナダでは、レモネードといえば砂糖入りの炭酸を含まないレモン水が一般的です。子供たちがレモネードスタンドを開いて販売する光景は、夏の風物詩として古くから親しまれてきました。近年では、濃縮果汁やドリンクミックスを用いた手軽なレモネードも広く普及しています。また、インディアンの伝統飲料に由来する「ピンクレモネード」も人気があります。

イギリス：炭酸飲料としての進化

イギリスでは、かつてレモネードは砂糖入りのレモン水を指していました。しかし、20世紀初頭には炭酸を加えたものが主流となり、現在ではスプライトやセブンアップのようなレモン風味の炭酸飲料を指すことが多いです。イギリスで「スカッシュ」と呼ばれる濃縮果汁シロップは、アメリカではあまり見られない特徴的な存在です。また、「レモンコーディアル」は、スカッシュを水で割ったノンアルコール飲料を意味します。この点は、蒸留酒を意味する場合もあるアメリカ英語とは対照的です。

アイルランド：泡立つ赤レモネード

アイルランドでは、レモン風味の炭酸水をレモネードと呼びます。「白レモネード」は無色の炭酸入りレモン水ですが、「赤レモネード」は炭酸で泡立つアイルランド特有のものです。

オーストラリアとニュージーランド：コモンウェルス圏のレモネード

オーストラリアとニュージーランドでは、イギリスと同様にレモン風味の炭酸飲料がレモネードとして認識されています。Spriteや7Upなどもレモネードとして販売されていた時期がありました。濁りのあるものは「レモンスカッシュ」と呼ばれ、SoloやLiftといった商品があります。

フランス：ビールとのマリアージュ

フランス語でlimonadeと呼ばれるレモネードは、イギリスと同様に炭酸飲料です。LorinaやPschittといった商品が代表的です。ビールとlimonadeを混ぜたカクテルは「パナシェ」と呼ばれ、イギリスのシャンディ・ガフと類似しています。また、レモンを皮ごとミキサーにかけたシトロネードも、類似した飲み物として存在します。

イタリア：甘く爽やかなレモンの味わい

イタリアでは、レモン果汁またはレモン水に砂糖や蜂蜜を加えた炭酸を含まない飲料をレモネードと呼びます。南イタリア沿岸では多種類のレモンが栽培されており、レモンを漬けたリキュールであるリモンチェッロも有名です。

フィンランド、ドイツ：炭酸飲料の総称

フィンランドとドイツでは、レモネードはコカ・コーラのような炭酸飲料全般を指すことがあります。ドイツでは、特に甘いレモン風味の炭酸飲料は「süßes Sprudel」と呼ばれ、ビールやワインとのカクテルも存在します。

オランダ：甘い濃縮果汁飲料

オランダでは、甘い濃縮果実酒を水で割ったもの全般をレモネードと呼びます。

日本：シンプルなレモン水

日本では、アメリカと同様にレモン果汁に水と砂糖を加えたものが一般的です。レモン水、はちみつレモンなどもレモネードのバリエーションとして親しまれています。

香港：レモン入りの甘味水

香港の茶餐廳では、シロップで甘くした水にレモンのスライスを添えたものが「檸檬水」などと呼ばれて提供されます。

インドとパキスタン：定番の砂糖入りレモン水

インドとパキスタンでは、「nimbu pani」と呼ばれる砂糖入りのレモン水が一般的です。

ブラジル：シェイクスタイルも

ブラジルでは、レモン水そのもの、あるいはレモン、氷、砂糖などをシェイクした「swiss lemonade」を指す場合があります。

中東：ミントの香り漂うレモネード

中東では、ミントの葉を加えた砂糖入りレモン水が「Lemonana」と呼ばれています。スムージーのようにして提供されることもあります。アルコールを加えたバリエーションも存在します。

レモネードの歴史

炭酸を含まないレモネードは、商業用ソフトドリンクの中でも古い部類に属し、少なくとも17世紀には販売されていました。17世紀のパリでは、レモネード販売の専売権を持つ業者団体が存在していました。

まとめ

世界各地で愛されるレモネード。そのシンプルながらも多様な姿は、それぞれの地域の文化や歴史を反映しています。一口にレモネードといっても、その味は無限に広がっているのです。

もう一度検索