レユニオン島の尖峰群、圏谷群および絶壁群

レユニオン島の尖峰群、圏谷群および絶壁群：壮大な自然遺産

レユニオン島は、インド洋南西部のマスカリン諸島に位置するフランスの海外県です。マダガスカル島から約800km、南回帰線の北約200kmに位置し、約300万年前の火山活動によって誕生しました。面積は約2,500平方キロメートルで、その中心には、2010年にユネスコの世界遺産リストに登録された「レユニオン島の尖峰群、圏谷群および絶壁群」が存在します。フランスの世界遺産としては3番目の自然遺産であり、フランス本土以外では「ニューカレドニアの礁湖」に次ぐ2例目、海外県としては初めての登録という歴史的な意義を持っています。

登録範囲と評価

世界遺産に登録されたエリアは、2007年に設定されたレユニオン国立公園の中心部に相当し、島の面積の約40％を占めます。登録に際しては、尖峰、圏谷、絶壁が織りなす独特の地形と、亜熱帯雨林、雲霧林、ヒースなどの多様な植生が、その自然美と生物多様性の観点から高く評価されました。その景観は、まさに地球のダイナミズムと生命の息吹を感じさせるものです。

構成要素：2つの火山と3つの圏谷

この世界遺産は、2つの火山と3つの圏谷から構成されています。

2つの火山

ピトン・デ・ネージュ (le piton des Neiges): レユニオン島の最高峰（標高3,070m）で、現在では活動を停止していますが、かつては3つの圏谷（マファト、サラジー、シラオス）の形成に関与しました。その雄大な姿は、太古からの時の流れを感じさせます。
ピトン・ドゥ・ラ・フルネーズ (le piton de la Fournaise): 地球上で最も活発な火山のひとつであり、2010年の世界遺産登録時にも噴火するなど、現在も活発な活動を続けています（2017年にも噴火）。標高は2,631mですが、海底からの火道の高さは6,000mにも及ぶと推定されています。そのダイナミックな活動は、地球の生命力の象徴と言えるでしょう。

3つの圏谷

マファト圏谷 (Mafate): 上流から下流へと整然と並ぶ巨大な稜線が特徴的な、独特の景観を呈する圏谷です。
シラオス圏谷 (Cilaos): ピトン・デ・ネージュの南西に位置し、高原状の地形が広がり、人々の居住地も存在します。歴史と自然が共存するエリアです。
* サラジー圏谷 (Salazie): 豪雨が多く、無数の滝が断崖を流れ落ちる、まさに絶景と呼ぶにふさわしい圏谷です。

世界遺産登録基準

この世界遺産は、以下の基準を満たして登録されました。

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
(10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。

フランス当局は、基準(8)と(9)の適用も申請していましたが、IUCNの事前調査において、他の類似の世界遺産との比較検討の結果、否定的評価が下されました。

登録名について

登録名にある「rempart」は、通常「城壁」を意味しますが、ここでは高さ1,000mにも及ぶ直線的または曲線的な絶壁を指し、「自然の城壁」とも訳されます。この言葉が示すように、レユニオン島の地形は、まさに自然が生み出した壮大な要塞と言えるでしょう。

レユニオン島の尖峰群、圏谷群および絶壁群は、地球のダイナミズムと生物多様性の豊かさを象徴する、他に類を見ない貴重な自然遺産です。その雄大なスケールと神秘的な美しさは、訪れる人々を圧倒し、忘れられない感動を与えてくれることでしょう。

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