レント (映画)

『RENT/レント』は、2005年に公開されたアメリカのミュージカル・ドラマ映画です。クリス・コロンバスが監督を務め、ジャコモ・プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』を原作とするブロードウェイミュージカル『レント』を映画化した作品です。

物語の舞台は1989年から1990年のニューヨーク、マンハッタンのイースト・ヴィレッジ。映画は、家賃（レント）の支払いに苦悩しながらも、夢を追い、愛を求め、エイズの脅威と闘うボヘミアンたちの姿を鮮やかに描いています。

映画監督を目指すマーク・コウエンと、ロックミュージシャンのロジャー・デイヴィスは、家賃の支払いを巡って旧友のベニー・コフィン3世と対立します。そんな中、元ルームメイトのトム・コリンズが強盗に遭い、ストリートドラマーのエンジェルと出会い、互いがエイズに感染していることを知り、深い絆を育んでいきます。また、HIV陽性のロジャーは、自身の最後となるであろう曲の作曲に取り組む一方、階下に住むヘロイン中毒のストリッパー、ミミと恋に落ちます。

クリスマス、コリンズとエンジェルはマークとロジャーをエイズ支援団体に誘い、マークはドキュメンタリーを撮影することを決意します。マークの元恋人モーリーンは、新しい恋人ジョアンヌと恋を育みながら、社会活動にも熱心です。ミミはロジャーと愛を深めますが、過去のトラウマからお互いを傷つけ合うこともあります。

年が明け、ベニーはアパートに鍵をかけますが、エンジェルが壊します。その後、マークはニュース番組で仕事を得る一方、モーリーンはジョアンヌと別れ、ロジャーはミミと距離を置きます。エンジェルは病状が悪化し、コリンズの腕の中で息を引き取ります。それぞれの道を歩みだした人々ですが、再びクリスマスイブに再会します。ミミは瀕死の状態で見つかりますが、ロジャーと和解。ロジャーは1年かけて作った曲を歌い、ミミは奇跡的に息を吹き返します。

この映画の大きな魅力の一つが、オリジナルブロードウェイキャストが多数出演している点です。マーク役のアンソニー・ラップ、ロジャー役のアダム・パスカル、ミミ役のロザリオ・ドーソン、トム・コリンズ役のジェシー・L・マーティン、エンジェル役のウィルソン・ジャメイン・ヘレディア、そしてモーリーン役のイディナ・メンゼルが、それぞれの役を熱演しています。

映画は、ニューヨークの実際の場所で撮影された場面もあれば、カリフォルニアのスタジオで撮影された場面もあります。特に、ライフ・カフェのシーンは、アラメダの倉庫で撮影されました。また、イースト・ヴィレッジの街並みは、ワーナーブラザーズの屋外撮影所で再現されました。

批評家の評価は賛否両論であり、Rotten Tomatoesでは170件のレビュー中46%の支持率、Metacriticでは100点満点中53点となっています。舞台版のファンからは評価が高いものの、映画としての演出が弱いという意見もありました。

DVDには、劇場版とは異なるエンディングも収録されています。劇場版ではカットされたエンジェルが登場する場面があり、エンジェルが生きているかのような誤解を避けるために劇場版ではカットされたと監督が語っています。

また、舞台版と映画版では、いくつかの点で異なる点が確認できます。『Goodbye Love』の2番は感情的になりすぎるという理由でカットされ、ロジャーの元彼女エイプリルの死因について、映画ではHIV陽性であることだけが示唆されていますが、舞台版では自殺であったことが明かされています。

映画のサウンドトラックは、『Rent: Original Motion Picture Soundtrack』として発売され、2枚組で28曲が収録されています。特に、「Seasons of Love」は、ビルボード誌のシングルチャートで初登場68位を記録しました。

映画のプロモーションのため、ワーナー・ブラザースはいくつかの曲をダンスリミックスにしました。これらのリミックスは、クラブで配布されたり、CDやダウンロードで購入することができました。

演奏者として、ティム・ピアス、ジェイミー・マホビラック、ポール・バシェルなど、著名なミュージシャンが参加しています。また、レコーディングエンジニアとして、ダグ・マキーン、チャールズ・ウィリアムズなどがクレジットされています。

映画『RENT/レント』は、エイズという重いテーマを扱いながらも、愛と希望を力強く描き出し、観る人に深い感動と勇気を与えてくれます。

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