レーゲンスブルクの旧市街とシュタットアムホーフ

レーゲンスブルク旧市街とシュタットアムホーフ：中世の面影を残す歴史都市

レーゲンスブルクの旧市街とシュタットアムホーフは、2006年にユネスコの世界遺産に登録されました。この地は、古代ローマ時代にカストラ・レギーナ（レーゲン川沿いの要塞）として誕生し、ドナウ川とレーゲン川の合流点という地理的優位性から、中世には重要な交易拠点として発展しました。

歴史的背景

1245年に帝国自由都市となったレーゲンスブルクは、交易ルートの変遷まで商業の中心地として繁栄しました。一時バイエルン公国に組み込まれたものの、神聖ローマ帝国によって独立を回復。1542年には宗教改革を受け入れ、市議会はルター派が主導しました。しかし、ローマ・カトリックの信仰も根強く残り、聖エメラム修道院などの修道院は帝国議会に議席を持つなど、複雑な政治状況を抱えていました。1663年から1806年には神聖ローマ帝国議会が常設され、帝国の中心都市として賑わいを見せました。

主な建造物群

旧市街

レーゲンスブルク大聖堂 (Dom): ドイツ・ゴシック建築の傑作であり、バイエルン州を代表するゴシック建築の一つです。1275年に建設が始まり、尖塔の完成は19世紀にずれ込みましたが、内部にはペーター・フィッシャーの作品など、貴重な美術品が数多く残されています。大聖堂に隣接する礼拝堂は、8世紀に遡るとも言われ、大聖堂本体よりも古い歴史を持っています。また、レーゲンスブルク大聖堂の聖歌隊席は「レーゲンスブルガー・ドムシュパッツェン」として世界的に有名です。
シュタイネルネ・ブリュッケ: 1135年から1146年にかけて架けられた石橋で、中世の橋梁建築の傑作とされています。第二次・第三次十字軍の騎士たちが聖地エルサレムへ向かう際にこの橋を渡ったと伝えられています。
聖ウルリヒ教区教会: 13世紀の建築様式を示す教会で、貴重な骨董品を所蔵しています。現在は聖ウルリヒ司教区博物館として、宗教芸術などを展示しています。
市庁舎: 14世紀に遡る部分が現存しており、1663年から1806年まで帝国議会が置かれていました。
黄金十字の宿屋 (Gasthof zum Goldenen Kreuz): 神聖ローマ皇帝カール5世がドン・フアン・デ・アウストリアの母バルバラ・ブロムベルクと出会った場所として知られています。また、ヨハネス・ケプラーが1630年にこの地で亡くなりました。

シュタットアムホーフ

旧聖カタリナ慈善病院:

登録基準

レーゲンスブルク旧市街とシュタットアムホーフは、以下の世界遺産登録基準を満たしています。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
* (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

レーゲンスブルクは、中世の都市景観を色濃く残し、神聖ローマ帝国の歴史を物語る貴重な遺産です。その美しい街並みは、訪れる人々を魅了し続けています。

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