レーヴェ (戦車)

レーヴェ重戦車（Panzerkampfwagen VII Löwe）

レーヴェ重戦車とは、ナチス・ドイツが第二次世界大戦中に開発を計画した重戦車で、ドイツ語で「ライオン」を意味する「Löwe」に由来しています。1941年、独ソ戦が始まると、ドイツ軍はソ連のT-34中戦車やKV-1・KV-2重戦車に対抗するため、攻撃力と防御力に優れた新たな重戦車の必要性を強く感じました。特に、当時のドイツの指導者だったヒトラーは、ソ連が投入する重武装の戦車に対抗するため、強力な重戦車部隊の編成を急がなければならないとの認識を持っていました。

開発の背景

重戦車の開発は、1941年11月に行われた会議を契機に進められました。会議では、現実的に運用可能な戦車の重量上限を70トンから90トンとするという方針が打ち出されました。これ以上の重量の戦車は、道路や鉄道の輸送制限、軍事活動での整備の難しさから、実用性が低下すると考えられました。これに基づいて、陸軍兵器局はVK7001という仮名称で仕様書を策定し、クルップ社に設計を依頼しました。

クルップ社が選ばれた理由は、当時開発中のティーガーIやパンター中戦車のプロジェクトから外れていたため、設計および生産の余裕があったからでした。また、軍需部門の政治的な意図として、クルップ社に戦車の開発を継続させる必要性もあったとされています。

計画の詳細

VK7001の要求性能としては、70トン程度の重量、砲塔150mm、車体100mmの正面装甲、そして最高時速45km程度の速度を目指していました。また、主砲には榴弾砲を改良した口径15cm砲を装備する計画でした。しかし、クルップ社が設計作業を進めている間に、それらの数値が実現不可能であると判断され、78000トンから90トンの複数の設計案が再策定されました。

具体的には、重量76トンで正面装甲100mm、1,000馬力のガソリンエンジン搭載、時速27km程度の速度を有する案や、重量90トンで120mmの正面装甲、時速23km程度の速度を持つものなどが考案されました。

その後、兵器局から指定されたマイバッハ社製のHL230エンジン（出力800馬力）を搭載することが条件となり、正式にVK7001(K)の開発がクルップ社に発注されました。1942年2月にヒトラーに提案された際、「より強力なもの」を求める指示があり、設計内容は正面装甲140mm、主砲は長砲身の15cm砲に変更されることが決定しました。

最終的には、1942年4月に2両の試作車の製作が発注されましたが、同年5月末には重戦車の開発が資源の無駄遣いとされたため、レーヴェの開発は中止される運命となりました。

車両のデザインと仕様

レーヴェ重戦車の具体的な外観や装備については、設計が最終的に確定する前に開発が中止されたため、はっきりとした資料は存在していません。計画段階のVK7001(K)の概念模型が唯一の形態として残されており、その仕様の詳細な情報は不明な点が多いです。現代においてレーヴェのイメージが描かれる場合、多くはVK7201の計画図を基にしたもので、傾斜装甲とされる流線型の車体や砲塔のデザイン、走行装置の構成などが想像されています。

結論

レーヴェ重戦車は、その卓越した火力と装甲でドイツ軍の期待を背負った設計だったものの、時代の流れやヒトラーの意向により、実現することなく計画が終了しました。その後の戦車開発の歴史において、レーヴェは貴重な試みに終わりましたが、幻の名機として語り継がれています。登場作品としては、『World of Tanks』などのゲームでその名を知ることができます。

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