レーヴ・ダヌィーロヴィチ

レーヴ・ダヌィーロヴィチは、13世紀のルーシを代表する公の一人であり、その生涯は激動の時代を反映しています。

生涯

1228年、レーヴはハールィチ・ヴォルィーニ大公ダヌィーロ・ロマーノヴィチの次男として生まれました。兄の死後、父の後継者として期待されるようになります。父ダヌィーロは、モンゴルの侵攻に対抗するため、周辺諸国との連携を模索し、レーヴはハンガリー王ベーラ4世の娘コンスタンツィアと結婚しました。1250年代には、モンゴルの将軍クレムサとの戦いで勝利を重ねますが、1259年、父ダヌィーロがモンゴル軍に敗北し、ハールィチ・ヴォルィーニ大公国は再びジョチ・ウルスの支配下に入りました。

1264年に父が亡くなると、レーヴはペレームィシュリ公となり、自身の公座をリヴィウに移しました。弟の死後、ハルィチナー全域とヴォルィーニ公国の領地を受け継ぎ、1272年にはハールィチ・ヴォルィーニ大公国の首都をハールィチからリヴィウへ遷都しました。

レーヴはジョチ・ウルスの支配下でありながら、モンゴルの力を利用して領土を拡大しようとしました。また、反モンゴル政策を密かに抱き続け、1280年代にはハンガリー王国のザカルパッチャ地方を奪い、ポーランド王国のルブリン州を占領しました。さらに、チェコ、リトアニア、ドイツ騎士団と同盟を結び、勢力拡大を図りました。

1293年、叔父ヴァスィーリコの子孫が絶えると、レーヴはハールィチ・ヴォルィーニ大公国の君主となりました。1301年に死去するまで、モンゴルとの対立を避けつつ、勢力維持に努めました。

死後

レーヴは生前、モンゴルとの関係を考慮し、父の王位を継承しませんでしたが、息子のユーリイ・リヴォーヴィチは力を蓄え、自ら「ルーシの王」と称しました。これにより、ハールィチ・ヴォルィーニ大公国は王国としての地位を確立し、東ヨーロッパにおける重要な勢力として存続しました。

子女

レーヴはコンスタンツィアとの間に、以下の子供をもうけました。

ユーリイ：後のハールィチ・ヴォルィーニ大公、ルーシ王
スヴャトスラヴァ：修道女
* アナスタシア：ドブジン公シェモヴィトと結婚

レーヴ・ダヌィーロヴィチの生涯は、モンゴルの支配下におけるルーシの諸公国の苦難と、その中で生き残りをかけ、勢力拡大を目指した公の姿を鮮やかに描き出しています。彼の政策は、後のルーシの王国の成立に大きな影響を与えました。

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