ユーリイ・リヴォーヴィチ

ユーリイ・リヴォーヴィチ（1252/7年 - 1308年3月18日）は、リューリク朝の流れを汲む公であり、ベルズ公（1264年 - 1301年）と第5代ハールィチ・ヴォルィーニ大公（1301年 - 1308年）を歴任しました。また、「ルーシの王」の称号も有していました。

生涯

レーヴ・ダヌィーロヴィチの嫡男として生まれたユーリイは、当初ホルムを治めていましたが、1264年よりベルズ公となります。1301年に父の死後、ハールィチ・ヴォルィーニ大公位を継承しました。

ユーリイは中央集権国家の確立を目指し、国内の分立状態を解消しようと試みました。諸公国を廃止して州を設置し、小公に代わって代官を任命することで、国全体を掌握しようとしました。また、モンゴルの支配からの脱却を図り、「ルーシの王」と称して独立を宣言、ジョチ・ウルスの支配下にあったキエフを含むルーシの領有権を主張しました。

しかし、1302年にハールィチ・ヴォルィーニ大公国がモンゴルと不和になると、ポーランドとハンガリーが侵攻し、リュブリン州とザカルパッチャの一部を奪いました。ユーリイは両国の要求を一旦は受け入れ、和平を結び、政略結婚によって同盟を強化する一方で、東のジョチ・ウルスとの対立を続けました。さらに、ドイツ騎士団との友好関係を維持することで、北方からのリトアニアの侵攻を防ぎました。

1303年、ユーリイはコンスタンティノポリ総主教庁の承認を得て、ハールィチ府主教区を創設しました。これは、キエフ府主教座がウラジーミルへ遷座したことで、ハールィチ・ヴォルィーニ大公国が自らの影響下にある新たな権威を必要としたためです。また、モンゴルの傀儡となったキエフ府主教との関係を断ち切り、ルーシの正教会を独立した教会として再建する意図もあったとされています。

1308年、ユーリイ・リヴォーヴィチは死去しました。彼の反モンゴル政策とルーシ再建の試みは、息子のアンドリーイとレーヴに引き継がれました。

子女

最初の妻クセニヤ（トヴェリ公ヤロスラフ3世の娘）と、二番目の妻エウフェミア・クヤヴスカ（カジミェシュ1世の娘）との間に、以下の子供たちがいました。

ミハイロ（1283年 - 1286年） - クセニヤとの息子
アンドリーイ
レーヴ
ドミトロ
マリア - チェルスク公トロイデン1世と結婚。ボレスワフ・ユーリー2世（後のルーシ王）の母

参考文献

（ウクライナ語） ウクライナ歴史辞典。キエフ、1993年。

もう一度検索