ロイス家

ロイス家（Haus Reuß）

ロイス家は、ドイツの貴族であり、かつて領邦君主として名を馳せた家系です。その歴史は12世紀にまで遡り、神聖ローマ皇帝の城代（フォークト）から領主、そして伯へと発展を遂げました。一族はテューリンゲン地方東部のフォークトラント地方を統治し、その名を歴史に刻みました。

歴史

起源

ロイス家の始祖とされるのは、神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世によってゲーラとヴァイダの城代に任命されたハインリヒ・フォン・グライスベルクです。彼の孫であるハインリヒ2世は、プラウエンの領地を購入し、その子孫たちが所領を分割相続することで、ロイス家の領地はザクセン選帝侯領やニュルンベルクにも広がっていきました。

ロイス家の先祖たちは、フォークトラント地方における神聖ローマ皇帝の城代を務める中で、徐々に領主としての地位を確立していきました。彼らの支配領域は、プラウエンの城代領をはじめ、シュライツ、グライツ、バート・ローベンシュタイン、ヴァイダ、ゲーラ、ホーフ、ゼルプ、アッシュなど、広範囲に及んでいました。

領土の相続と「ロイス」の家名

1209年、ハインリヒ2世の3人の息子たちが家領を分割し、ヴァイダ、ゲーラ、グライツにそれぞれの居所を置きました。しかし、グライツ系統は1代で途絶え、その領土はゲーラ系統に相続されました。ゲーラ系統はプラウエン城代家とゲーラ城代家に分かれ、1303年にプラウエン城代ハインリヒ1世が亡くなると、その領地は1306年に2人の孫の間で分割されました。

ハインリヒ1世の孫であるハインリヒ2世ロイスは、1307年より公式の家名として「ロイス」を名乗るようになりました。これは、彼がルーシの王家の女系子孫であることを示すためでした。それ以前に分かれたヴァイダ、ゲーラ、プラウエンの城代の諸系統は、ロイスの家名を名乗ることはありませんでした。

分割相続と帝国諸侯への道

1564年、ロイス家領は分割され、兄系ロイス、中子系ロイス、弟系ロイスがそれぞれウンターグライツ、オーバーグライツ、ゲーラを領有しました。中子系は1616年に断絶し、その遺領は他の2系統の間で分割相続されました。兄弟全員が相続権を平等に有する制度であったため、分割相続はその後も繰り返されました。

1768年、兄系ロイス家のハインリヒ11世は、継嗣の絶えたロイス＝ウンターグライツ家の所領を併せて兄系ロイス家を統合し、1778年には帝国諸侯の地位を得て、兄系ロイス侯国となりました。弟系ロイス家でも、ロイス＝ローベンシュタイン家、ロイス＝エーベルスドルフ家、ロイス＝シュライツ家が帝国諸侯の地位を得ました。

ドイツ帝国から現代へ

1866年には北ドイツ連邦に加盟、1871年にはドイツ帝国の構成国となりました。第一次世界大戦後のドイツ革命により、ロイス家は諸侯の身分を失いましたが、1919年にロイス人民州政府との間で協定を結び、財産の一部を保持しました。

1927年に兄系ロイス家が断絶すると、弟系ロイス家がその資産を受け継ぎ、ロイス家は統合されました。しかし、第二次世界大戦後、ロイス家の財産はソ連占領当局によって接収され、家長のハインリヒ45世は消息不明となりました。

現在、ロイス家の家長は、ロイス＝ケストリッツ家のハインリヒ14世が務めています。ロイス＝ケストリッツ家は、ロイス家の諸家の中で唯一存続する系統であり、その歴史と伝統を受け継いでいます。

「ハインリヒ」の名と序数

ロイス家の全ての男子は、洗礼名として「ハインリヒ」を名乗るという特徴的な家法があります。個々の男子を区別するため、名前に序数が付けられます。この伝統は、1668年にロイス家の家内法に明記され、遠祖のハインリヒ2世がホーエンシュタウフェン朝の神聖ローマ皇帝ハインリヒ6世から受けた恩義を忘れないために始まったと考えられています。

近年の出来事

2022年には、ロイス＝ケストリッツ家分枝のハインリヒ13世が、ドイツの極右反政府運動に関与したとして逮捕され、ロイス家は不本意な形で世界の注目を集めました。家長のハインリヒ14世は困惑を表明し、ロイス家一族はハインリヒ13世とはすでに距離を置いていることを明らかにしました。

ロイス家は、その長い歴史の中で、数々の変遷を経験してきました。しかし、その伝統と家名は、現代においても受け継がれ、語り継がれています。

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