ロイター飛行

ロイター飛行 (Loiter)とは

航空機の飛行形態の一つで、特定の空域に留まって旋回する飛行を指します。着陸許可待ちや、偵察・監視活動など、様々な状況で行われます。単に「ロイター」と呼ばれることもあります。

概要

「ロイター」とは、英語で「ぶらぶらする」「のらりくらり過ごす」といった意味を持つ言葉です。航空分野においては、空港上空で着陸順を待つ場合や、偵察機や対潜哨戒機が監視活動を行う際に、一定空域に留まることを指します。航空機の設計や飛行計画においては、ロイターに必要な燃料も考慮されます。

滞空時間

通常の飛行では飛行距離の最大化が重視されますが、ロイター飛行では滞空時間の最大化が重要になります。滞空時間は、燃料消費率、揚力、抗力、推力、初期重量、最終重量などの要素から算出されます。燃料消費に伴い機体重量が減少するため、計算には積分が用いられます。

滞空時間算出の数式

滞空[時間]は以下の式で表されます。

math
E=\int _{W_{f}}^{W_{i}}{\frac {1}{CW}}\left({\frac {L}{D}}\right)\,\mathrm {d} W=\left({\frac {L}{D}}\right)\left({\frac {1}{C}}\right)\ln \left({\frac {W_{i}}{W_{f}}}\right)


ここで、

C: 燃料消費率
L: 揚力
D: 抗力
Wi: ロイター開始時の重量
Wf: ロイター終了時の重量

[ジェット機]]の場合は揚抗比]を最大に、[[プロペラ機の場合は出力を最小にすることで滞空時間を最大化できます。

エンジン停止

複数エンジンを搭載した航空機では、条件が許せばエンジンを停止することで燃料消費を抑えることがあります。ただし、ロイター状態では速度や高度が低いため、エンジン停止状態で長距離を飛行することは航続距離の面では不利になります。プロペラ機では、プロペラ角を調整して空気抵抗を減らすことが有効です。ターボファンエンジンは、停止しても内部ファンが回転し抵抗となるため、出力を絞るだけに留めるのが一般的です。

実例

旅客機: 着陸待機中に旋回する場合、燃料消費を抑えるため、エンジンの停止が検討されることがあります。ただし、エンジンの再始動には高度などの条件があり、近年の燃費向上により、エンジン停止はあまり行われなくなりました。
対潜哨戒機: 特定海域の監視や潜水艦の探索など、長時間滞空が必要な場合、燃料節約のため速度や機動性を抑えた飛行を行います。燃料消費に応じてエンジンを停止し、消費を最小限に抑えます。

関連項目

無人航空機: 長時間滞空ミッションを行う無人偵察機などがあります。
* 徘徊型兵器: ロイター飛行を特徴とする巡航ミサイルの一種です。

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