ロイド・シャープレー

ロイド・ストウェル・シャープレーの業績と人生

ロイド・ストウェル・シャープレーは、1923年6月2日にマサチューセッツ州ケンブリッジで生を受けたアメリカの経済学者、数学者です。彼の父は著名な天文学者ハーロー・シャープレーであり、自身もまた優れた学者として知られています。ハーヴァード大学に進学した後、1943年から1945年にはアメリカ陸軍航空隊で軍曹としての経験を積みました。戦後、再びハーヴァードに戻り、1948年に数学の学士号を取得して卒業。その後、プリンストン大学に進学し、1953年に博士号を取得しました。

シャープレーは、1954年から1981年までランド研究所で活動した後、UCLAで教授職に就きます。彼はゲーム理論に関する多くの貢献をし、その業績が評価されて2012年にはアルヴィン・ロスとともにノーベル経済学賞を受賞しました。

初期の研究と業績における影響

シャープレーの初期の研究は、エッジワースのアイデアをゲーム理論に落とし込むもので、その中で特に重要なシャープレー値を提唱しました。この概念は協力ゲームの解法の一つとして広く受け入れられ、彼はそれと同時にコアの概念を導入しました。コアとは、参加者全員にとって、誰も得られないよりも自分たちで協力した方が得られるような状態を指します。さらに、彼はコアが非空集合になるための必要十分条件、いわゆるボンダレーヴァ＝シャープレー定理を発表しました。これにより、マーケット・ゲームなどの特定のゲームにおいてコアの存在が保証される理論的基盤が生まれました。

また、シャープレーは投票における協力ゲームの応用にも積極的に取り組み、マーティン・シュービックと共にシャープレイ＝シュービック投票力指数を開発しました。この指標は投票者の影響力を評価するために用いられ、多くの応用がなされています。

確率ゲームとマッチング

1980年代には、ゲーム理論のさらなる進展を見据え、彼は確率過程ゲームも開発しました。このゲームは、各ステージにおける状態変数が前期の結果に依存するため、ゲーム展開が確率的になります。これにより、動的なゲーム理論の発展に寄与しました。

また、シャープレーはデイヴィッド・ゲールと共に安定マッチングアルゴリズムを定式化しました。このアルゴリズムは、学校選択や医師の臨床研修制度におけるマッチングプロセスに幅広く応用されています。日本でも、2004年以降の研修制度導入に際し、ゲール＝シャープレーアルゴリズムが採用されました。

その他の研究と遺産

シャープレーは、潜在的ゲームの概念の形成や、オーマン＝シャープレー・プライシング、ハーサニ＝シャープレー解など、多岐にわたる研究を行いました。また、効用理論に関する深い洞察を持ち、その成果が協力ゲームの分野をさらに発展させました。さらに、ロバート・オーマンとの共同研究によって、ノン・アトミック・ゲームに関する重要な理論も展開されています。

受賞歴と学術活動

生涯にわたりシャープレーは数多くの賞を受賞し、アメリカ陸軍航空隊ではブロンズ・スターを、計量経済学会からはフェローとしての終身資格を得ました。また、2012年にはノーベル経済学賞を受賞し、彼の業績は世界中の経済学者に影響を与え続けています。シャープレーはその知識を広めるため、様々な学会にも参加し、多くの論文を発表しました。

終わりに

ロイド・シャープレーの貢献は、ゲーム理論だけでなく、経済学全般においても大きな影響を与えました。彼の理論やアイデアは、今もなお経済学の研究や実践において重要な役割を果たし続けています。彼の業績は決して色褪せることなく、これからの研究者たちにも引き継がれていくことでしょう。

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