ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮

ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮

『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』は、2012年にデンマーク、スウェーデン、チェコの3カ国共同で製作された歴史ドラマ映画です。オリジナルタイトルは『En kongelig affære』。

本作は、ニコライ・アーセルが監督を務め、脚本はアーセル自身とラスマス・ヘイスターバングが担当しました。物語の舞台は18世紀後半のデンマーク王宮。史実に基づき、国王クリスチャン7世、イギリス出身の若き王妃カロリーネ・マティルデ、そしてドイツ人侍医ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセの間に生まれた複雑な関係と、それに伴う宮廷内の権力争い、そして啓蒙思想に基づく急進的な政治改革の試みを描き出しています。

物語は、ドイツへ追放されたカロリーネ王妃が、幼い我が子たちへの遺書を執筆する形で語られます。1766年、わずか15歳で精神的に不安定なデンマーク国王クリスチャン7世に嫁いだ彼女の孤独な日々。そんな彼女の前に現れたのが、国王の侍医となったストルーエンセでした。彼は理知的でカリスマ性があり、啓蒙思想に深く傾倒していました。王妃はストルーエンセに惹かれ、やがて二人は深い関係になります。

ストルーエンセは、国王の病状を利用して徐々に政治の実権を掌握していきます。彼は身分制度の廃止や検閲の撤廃など、大胆な改革を次々と実行に移しますが、これは保守的な宮廷勢力や特権階級からの激しい反発を招きました。王妃カロリーネも彼の改革を支持し、二人は共に理想の国家を目指しますが、その関係は人々の非難の的となります。

物語は、ストルーエンセが改革の推進と王妃との関係を深める中で、次第に孤立していく様を描きます。そして1772年、王太后ユリアーネ・マリーエを中心とする反対派の策略により、ストルーエンセは逮捕され、反逆罪で処刑されます。王妃カロリーネもまた、王位継承問題に巻き込まれ、国外へ追放される運命を辿ります。

主要キャストとして、カリスマ的な侍医ストルーエンセをマッツ・ミケルセンが、孤独な王妃カロリーネ・マティルデをアリシア・ヴィキャンデルが、そして精神に病を抱える国王クリスチャン7世をミケル・ボー・フォルスゴーが演じています。特にフォルスゴーは、国王の複雑な内面を見事に演じ、その演技は高い評価を得ました。他にも、トリーヌ・ディルホムが王太后を演じるなど、実力派俳優たちが脇を固めています。

本作は高い評価を受け、第62回ベルリン国際映画祭ではコンペティション部門に選出され、ミケル・ボー・フォルスゴーが男優賞である銀熊賞を、ニコライ・アーセルとラスマス・ヘイスターバングが脚本賞を受賞しました。さらに、第85回アカデミー賞ではデンマーク代表として外国語映画賞にノミネートされ、第70回ゴールデングローブ賞でも外国語映画賞にノミネートされるなど、国際的にも注目を集めた作品です。製作費は約4600万デンマーク・クローネで、ゼントロパが主導し、複数国での共同製作体制が取られました。

『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』は、史実に基づいた壮大な人間ドラマとして、愛、欲望、そして理想を追い求めた人々の悲劇的な運命を、重厚な筆致で描き出しています。

もう一度検索