ロケーションフリー

ロケーションフリーとは

ロケーションフリー（LocationFree）は、ソニーがかつて販売していた製品群で、インターネットを通じて遠隔地から自宅のテレビ放送を視聴できる画期的な技術です。旧名はエアボードであり、通称は「ロケフリ」です。この技術は、自宅にあるテレビ放送信号をリアルタイムでMPEG-4またはMPEG-2に変換し、IP（Internet Protocol）パケットとして送信することで実現されており、ユーザーは自身の端末を用いて、インターネットを併用することで視聴できました。

概要と機能

2006年にこの技術は「経済産業省　第1回　ネットKADEN」大賞を受賞し、同年を境にその利用が広まりました。通常は「ロケーションフリーベースステーション」をADSLモデムやブロードバンドルータに接続し、さらにテレビアンテナとも連携させて利用します。このベースステーションは、モニターと非接触で通信を行い、ユーザーはタッチパネルにより簡単に操作できました。また、モニターとベースステーションは、ワイヤレス通信（IEEE 802.11a/b/g）を通じて結ばれ、離れた場所でも視聴が可能でした。

ロケーションフリーは、デジタル放送の視聴機能に一部制限があったものの、ユーザーはネット上でテレビ番組を視聴することが可能で、また、PC用ウェブサイトのアクセスやインターネットショッピングも行えたため、多用途に利用されていました。特に、LF-PK1ではPSPをモニターとして使用できる機能が追加され、多くの注目を集めました。

製品のラインナップ

ロケーションフリー製品には、LF-PK1、LF-PK20、LF-W1HDなどがあり、特にLF-PK20は、画質向上のためにMPEG-4 AVC（H.264）方式に対応していました。これにより、視聴体験を大幅に高めることが可能となりました。また、LF-W1HDはハイビジョン映像の視聴が可能なモデルで、家庭用機器をリモートで操作することが出来る「NetAV機能」を搭載していました。

さらに、各タイプのベースステーションは、オンラインでの機能を充実させ、メールの送受信やウェブブラウジングを行えるなど、当時の技術の先端を行くものでした。しかし、2009年には販売終了となり、2023年2月にはサービスも停止されました。

著作権と法的問題

ロケーションフリーは、株式会社永野商店が提供する「まねきTV」サービスとの関連で、多数の著作権問題が発生しました。このサービスは、利用者が日本のテレビを海外で視聴できるようにするもので、テレビ局側は著作権侵害を主張し、訴訟が展開されました。最高裁判所に至るまでの過程で、地裁や高裁での判断が繰り返され、最終的にまねきTVは著作権侵害が認められる結果となりました。

影響と評価

ロケーションフリーは通信と放送の融合を象徴する商品として、一部の先駆者には高く評価されました。発売当初、様々なネットメディアで取り上げられ、いくつかの賞を受けるなどその潜在的な力が評価されています。さらに、ロケーションフリー技術は、新たなテレビの視聴スタイルを提案し、その後の技術開発や関連商品に影響を与えました。現在では、類似の技術が多く登場しており、ロケーションフリーの先駆者としての地位を確立しています。さらに、次世代のリモート視聴技術も生まれ、より多くのオプションがユーザーに提供されています。

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