ロシア (列車)

ロシア号：シベリアを横断する長大列車

概要

ロシア号（ロシア語: Россия）は、ロシア鉄道が運行する特急列車で、ロシアの首都モスクワと極東の大都市ウラジオストクを結んでいます。この列車は、国内において最も長い距離を走る列車として知られており、全走行距離は9,288kmにも及び、その運行時間は約166時間（6日22時間）に達します。ロシア号はシベリア鉄道を経由し、ユーラシア大陸を横断する貴重な交通手段の一つであり、途中で7つのタイムゾーンを通過します。

設立の歴史

この列車の歴史は、1916年10月5日に全線が開通したシベリア鉄道に始まります。当初、モスクワからウラジオストクまでの移動には2週間以上かかり、連絡線を利用しても所要時間は16日間に及びました。1957年、ソ連国鉄は長距離旅客列車の運営を一元化し、1966年にはロシア号が正式に運行を開始しました。モスクワ鉄道局が運行を担当しており、歴史的に14の州や3つの地方、2つの共和国、90の都市を通過します。

1958年から1991年までの間、ウラジオストクは外国人の立ち入りが禁止され、列車はハバロフスク以南の地域では利用できませんでした。この運行制限の影響で、外国旅行者はハバロフスクからナホトカまで連絡列車を利用しなければなりませんでした。

塗装と運行の変遷

1992年に、ロシア号は従来の緑色からロシアの国旗をイメージした紅白青の三色に塗り替えられました。初期の頃はほぼ毎日運行されていましたが、1993年にはソビエト連邦崩壊後の鉄道利用者減少のため、隔日運行となりました。

2001年には運行ルートが変更され、経由地がヤロスラヴリからウラジーミル、ニジニ・ノヴゴロドに変更され、運行距離が9,288kmから9,259kmに短縮されました。

2006年には運行開始40周年の記念イベントが行われ、記念列車がウラジオストクに到着しました。この特別列車には当時の写真や新聞の切り抜きが展示され、人々の関心を集めました。数年後の2009年には、新型の61-4440系車両が導入され、老朽化した車両が更新されました。

最新の運行状況

2020年7月から、ロシア号の運行が週3本から毎日の運行に変更され、停車駅も約140駅に増加しました。その結果、運行時間はこれまでの6日22時間から6日22時間31分に延長されました。この際、従来のロシア号のダイヤは新たに61/62列車に移行し、99/100列車として新たな運行が開始されました。

また、モスクワ発平壌行きの国際列車もロシア号に併結されており、2週間に1回の頻度で運行されています。この列車は、ウスリースク駅で分割・併合され、その後はハサン駅を通過して北朝鮮に入ります。国際列車の運行も含め、ロシア号は現在でも世界最長の距離を走行している列車として、その名を馳せています。

今後の展望

ロシア号は、今後も多くの旅客に利用され、シベリアの広大な自然や文化を体験する貴重な手段であり続けるでしょう。国内外からの観光客にとって、シベリア鉄道の旅は一生に一度の大きな冒険となることでしょう。

もう一度検索