ロシア占領下のウクライナでの2022年の併合住民投票

ロシア占領下のウクライナにおける2022年併合住民投票

2022年9月23日から27日にかけて、ロシア連邦および親ロシア派勢力は、ウクライナ南東部4州（ルハンシク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州）の占領地域において、ロシアへの編入の賛否を問う住民投票を実施しました。この住民投票は、ロシアによるウクライナ侵攻中に強行され、国際社会から強い非難を浴びました。

住民投票の背景

ロシアは、2014年にクリミア半島を併合した際と同様に、住民投票を通じて自らの占領支配を正当化しようとしました。2022年2月、ロシアはウクライナへの侵攻を開始する直前に、ドネツク州とルハンシク州の「独立」を一方的に承認しました。その後、侵攻中に占領したザポリージャ州とヘルソン州についても、分離独立を承認する大統領令に署名しました。これらの地域をロシアに編入するため、住民投票の実施が計画されました。

住民投票の実施

住民投票は、占領下の各州で実施されました。ロシア側は、住民投票を「自由かつ公正」なものと主張しましたが、実際には、ロシア兵が戸別訪問で投票を求めるなど、住民に対する圧力があったと報道されています。また、ウクライナ軍の反撃やレジスタンス活動により、投票日程は何度も変更されました。ロシアの庇護を望む住民も一部いましたが、多くはロシアの支配下で投票せざるを得ない状況でした。

各地域の状況

ドネツク人民共和国（DPR）とルガンスク人民共和国（LPR）: これらの地域は、2014年からロシアの支援を受けた親ロシア分離主義勢力が実効支配しており、2022年2月にはロシアによって「独立」が承認されました。9月20日、両「人民共和国」はロシアへの加盟に関する住民投票を「直ちに」実施するよう要請し、9月23日から27日にかけて投票が行われました。
ヘルソン州: 3月、ロシアが「ヘルソン人民共和国」を樹立する計画が報じられましたが、その後、ロシアへの編入を目指す動きに転じました。5月には、ヘルソン州のロシア連邦加盟の準備が発表され、6月には住民投票の準備が開始されました。9月には、住民投票が9月23日から27日にかけて実施されました。
ザポリージャ州: 7月、ザポリージャの中央選挙管理委員会は、ロシア連邦への加盟のための住民投票の可能性を調査する命令に署名しました。8月には、住民投票の組織準備が開始され、9月にはヘルソン州と同じ日程で投票が行われました。

その他の地域

ムィコラーイウ州やハルキウ州でも住民投票の実施が計画されましたが、ウクライナ軍の反撃により、ハルキウ州ではほとんどの地域が解放されました。

国際社会の反応

ウクライナ政府や西側諸国は、住民投票を「茶番」と非難し、その結果を認めない姿勢を表明しました。

ウクライナ: ゼレンスキー大統領は、ロシアが武力で制圧した地域を併合しようとしているとし、「国連憲章に残忍な方法で違反している」と非難しました。
アメリカ合衆国: ブリンケン国務長官は、ロシアによる併合を西側諸国は決して認めないと改めて強調し、ロシアに「素早く厳しい追加的なコスト」を科すと警告しました。
フランス: コロンナ外務大臣は、住民投票を「見せかけ」としました。
中国: 汪文斌報道官は、「すべての国の主権と領土の完全性は尊重されなければならない」と述べました。
日本: 岸田文雄首相は、住民投票と称する行為、ウクライナの一部地域の編入に向けた動きは、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害するものであり、国際法違反であると非難しました。

結論

2022年のロシア占領下のウクライナにおける住民投票は、国際法に違反する一方的な行為であり、その結果は国際社会によって承認されませんでした。この事件は、ロシアのウクライナ侵攻における重要な出来事の一つであり、国際社会におけるロシアの孤立を深める要因となりました。この住民投票と併合宣言は、ウクライナの主権と領土保全を侵害し、国際的な平和と安全を脅かす深刻な行為として、強く非難されるべきものです。

もう一度検索