ロシア美術館

国立ロシア美術館

国立ロシア美術館（ロシア語: Государственный Русский музей、英語: State Russian Museum）は、ロシアの歴史的都市サンクトペテルブルクに所在する著名な美術館であり、ロシア美術の宝庫として知られています。もともとアレクサンドル3世皇帝を記念して1895年に設立されたこの美術館は、国立美術館として初めての存在であり、以来、ロシアの文化と芸術の象徴となっています。

歴史的背景

国家の美術品の収集は、エルミタージュ美術館やロシア帝国美術アカデミーから移転されたコレクションを基にしています。特に1917年に起きたロシア革命に伴い、多くの個人の蔵品が国有化され、その結果「黒の正方形」を含む作品が加わり、コレクションは現在も増え続けています。サンクトペテルブルク歴史地区の一部として、ユネスコの世界遺産にも登録されています。

ミハイロフスキー宮殿

美術館が位置するミハイロフスキー宮殿は、ロシア新古典主義建築の傑作であり、18世紀初頭に建設が始まりました。設計はイタリアの建築家カリオ・ロッシによって行われ、特にエントランスホールの18本のコリント式列柱は美しいアンピール様式を表しています。この宮殿は、サンクトペテルブルクにおける宮廷文化の中心の一つであり、音楽サロンとしても知られるエレーナ大公妃が主催した文芸活動がこの場所で行われました。

1895年4月13日、大公の後を継いだニコライ2世が新たな美術館としての再開を宣言し、宮殿改修が行われ、美術館としての歴史が始まりました。この改修は、建築家ウラジーミル・スヴィニインの手によって進められ、1898年には再度開館されました。

美術館のコレクション

国立ロシア美術館は、約37万点の美術品を収蔵しており、彫刻や絵画、デッサン、イコンなど、幅広いジャンルの作品が取り揃えられています。コレクションには、18世紀から19世紀の名作が含まれており、特にカール・ブリューロフの「ポンペイ最後の日」や、イリヤ・レーピンの「ヴォルガの船引き」など、ロシア文化を代表する重要な作品が多く揃っています。また、20世紀の現代美術においても、カジミール・マレーヴィチの「黒の正方形」やアルカジー・プラストフの「消えうせたファシスト」などが展示されており、時代を超えた芸術の発展を感じさせます。

美術館はミハイロフスキー宮殿を本館とし、ストロガノフ宮殿、大理石宮殿、ミハイロフスキー城などの別館も持ち、その全体が観覧者を魅了する美術の世界を形成しています。訪れる人々は、ロシアの文化や歴史に触れながら多様な芸術作品に出会うことができ、忘れられない体験が待っています。

国立ロシア美術館は、ロシアの美術界において中心的存在であり、国内外のアートファンにとって必見のスポットとなっています。サンクトペテルブルクの美しい景観に身を置きつつ、豊かな芸術文化に浸ることのできる特別な場所です。

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