ロシア軍艦対馬占領事件

ロシア軍艦対馬占領事件

ロシア軍艦対馬占領事件は、幕末の1861年に発生した重要な歴史的出来事です。この事件では、ロシア帝国の軍艦が対馬に進出し、約半年間にわたり占拠を続けたことが特徴です。ロシアの軍艦「ポサドニック号」は、対馬芋崎に無断で上陸し、兵舎や工場、練兵場などの施設を建設しました。この事件は「ポサドニック号事件」とも呼ばれています。

経過

ロシア軍艦の進出

文久元年2月3日、ロシア帝国海軍中尉のニコライ・ビリリョフは、軍艦ポサドニック号を引き連れて対馬に到着し、尾崎浦に錨を下ろします。彼はその後、浅茅湾に進んで測量を行いました。ロシア艦隊の中国海域司令官であったイワン・リハチョーフ大佐は、対馬海峡に根拠地を築くことを提案しましたが、日本との関係悪化を懸念したロシア政府はこの提案を拒否しました。しかし、最終的に大公コンスタンチン・ニコラエヴィチが艦隊派遣を許可したため、ポサドニック号が対馬に派遣されました。

対馬に到着したビリリョフ艦長は、藩主である宗義和に対して速やかに退船するよう抗議を受けるものの、「船が損傷しているため修理を行うために来た」と主張しました。その後、ロシア軍は芋崎に無断で上陸し様々な施設の建設を開始しました。

対馬藩との交渉

対馬藩内では、ロシア軍の行動に対して攘夷派と穏健派の間で激しい論争が続きました。宗義和は事を荒立てずに済ませようと努めましたが、ロシア側は無回答を貫き、軍事的優位を利用して日本側を脅かし続けました。ビリリョフ艦長は宗義和への面会を何度も要求し、挙句の果てに芋崎の租借を求めてきたため、対馬藩は幕府に助けを求めました。

4月には、ロシア軍が日本側の警備兵を射殺し、住民の拉致を試みるなどの暴挙に出ました。宗義和は対馬を守るために米や塩を贈呈し、衝突を避けつつ対策を講じました。

幕府の対応

その後、幕府は長崎奉行を通じてロシア艦側に抗議を行うも、十分な対応ができませんでした。小栗忠順が派遣され、交渉を試みる中でロシア側との会談が行われました。小栗は無断上陸を抗議し、ロシア側が強硬に謁見を要求しましたが、防衛のために譲歩することはありませんでした。

イギリスの介入

1861年7月、イギリス公使オールコックと海軍中将ホープがロシア艦の退去を提言し、イギリス艦隊の示威行動を伴いました。この圧力により、ロシア側は最終的にポサドニック号を対馬から退去させることに成功しました。

結論

ロシア軍艦対馬占領事件は、日本と外国との関係が複雑に絡み合った歴史の一部であり、幕末日本の外交への影響を与えました。この事件からは、国際的な圧力が如何に歴史の流れを変えるかが示されています。

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