ロシア52人虐殺犯/チカチーロ

1995年公開のアメリカ映画『ロシア52人虐殺犯／チカチーロ』（原題：Citizen X）は、ソ連で発生したアンドレイ・チカチーロによる凄惨な連続殺人事件を題材にした作品です。ロバート・カレンのノンフィクション『子供たちは森に消えた』を原作とし、監督・脚本はクリス・ジェロルモが務めています。

本作は、チカチーロによる残虐な殺人行為だけでなく、事件捜査に当たる捜査官たちの苦悩や葛藤、そしてソ連社会の闇の部分をも深く掘り下げています。犯人を追い詰めていく刑事たちの執念、事件の真相解明に挑む過程における様々な困難、そして当時の社会情勢などがリアルに描かれ、単なる犯罪映画の枠を超えた社会派ドラマとしての側面も持ち合わせています。

主演はスティーヴン・レイが務め、彼は粘り強く事件の解明に挑む刑事、ヴィクトル・ブラコフ中佐を熱演しています。ベテラン俳優ドナルド・サザーランドは、ブラコフ中佐の上官であるミハイル・フェチソフ少将を演じ、事件の真相解明に奔走する姿を見事に表現しています。ジェフリー・デマンは、冷酷非情な連続殺人犯アンドレイ・チカチーロを演じ、その不気味さと狂気を体現しています。さらに、マックス・フォン・シドー、ジョス・アクランド、イメルダ・スタウントンら名優たちが脇を固め、作品全体の質を高めています。

日本ではカルチュア・パブリッシャーズが配給を行い劇場公開されました。また、LD発売時には『チカチーロ』、NHK-BS2での放送時には『市民X』というタイトルで放送されました。日本語吹替版は2000年2月23日にNHK-BS2で放送され、佐々木勝彦、綿引勝彦といった豪華声優陣が参加しています。

『ロシア52人虐殺犯／チカチーロ』は、単なる猟奇殺人事件の描写にとどまらず、事件の裏に潜む社会問題や人権問題、そして捜査機関の限界などを浮き彫りにすることで、視聴者に深い衝撃と考察を促す作品となっています。チカチーロという猟奇殺人犯の残虐な犯罪行為と、それを追う捜査官たちの苦悩、そして当時のソ連社会の暗部が複雑に絡み合い、観る者に強い印象を残す、重厚なドラマです。 事件の真相、捜査の過程、そして犯人の心理描写など、あらゆる点において高い完成度を誇る作品と言えるでしょう。

この映画は、アンドレイ・チカチーロという名前を世に知らしめ、連続殺人事件の恐ろしさと、それに立ち向かう人々の姿を鮮やかに描き出した、歴史に残る傑作として高く評価されています。 多くの視聴者に衝撃と深い感銘を与え、犯罪、正義、そして人間の闇といった普遍的なテーマを考えさせる、忘れがたい作品と言えるでしょう。

もう一度検索