ロジャー・ボイル (初代オーラリー伯爵)

初代オーラリー伯爵ロジャー・ボイルの生涯

初代オーラリー伯爵ロジャー・ボイル（Roger Boyle, 1st Earl of Orrery）は、1621年4月25日にアイルランドで生まれ、1679年10月16日に亡くなるまで、波乱に満ちた政治人生を送った貴族です。彼は清教徒革命や王政復古期など、激動の時代の中で重要な役割を果たしました。彼の父は初代コーク伯爵リチャード・ボイル、母はキャサリン・フェントンであり、ボイル家はアイルランドにおいて名門の家系として知られています。

初期の経歴

ロジャーは家族の11番目の子どもとして誕生し、1628年にはアイルランド貴族のブロッグヒル男爵に叙爵されました。彼は1630年にダブリンのトリニティ・カレッジに入学し、1636年にはイングランドのグレイ法曹院に進みました。その後、ヨーロッパ大陸を旅し、フランスやイタリアを訪れるなど多くの経験を積みましたが、1639年にスコットランドでの主教戦争勃発を受けて帰国しました。

政治活動と戦争

1641年にはアイルランド反乱が勃発し、彼は兄のリチャード・ボイルと共に反乱軍と戦うことになります。この時、彼はアイルランド王党派の一員として、オーモンド侯ジェームズ・バトラーに仕官していました。しかし、1649年に王チャールズ1世が議会派によって処刑された後、ボイルは敵側に降伏し、サマセットへ移住。その後は政治的立場を変え、議会派に接近していきます。

イングランド共和国の成立後、彼はオリバー・クロムウェルに協力し、アイルランドの統治に深く関わるようになります。クロムウェルの信任を受けたボイルは、アイルランドそしてスコットランドにおける多くの政治的決定に影響を与えました。特に1657年に行われたアイルランド総督の後任推薦では、クロムウェルの息子ヘンリー・クロムウェルを支持し、彼と共にアイルランドの政治を安定させるために尽力しました。

王政復古とその後の生活

クロムウェルの死後、ボイルは共和国の行き詰まりを感じ、王党派と連絡を取り始めました。1660年には亡命中のチャールズ2世をアイルランドに迎えるべく活動しますが、実現には至りませんでした。同年、彼はオーラリー伯爵に叙爵され、アイルランドの貴族としての地位を確立します。1661年には騎士議会の議員に選出され、以降もアイルランドにおける政治の舵を取ることとなります。また、彼は土地資産を巡る法案にも関与し、新たな都市シャルルヴィルの建設に取り組みました。

ペンとの関係

ボイルはウィリアム・ペンと親交を深め、アイルランドにおける領地経営に協力しました。彼はペンがクエーカーとなった時期にも援助を行い、ペンを他のクエーカーと共に釈放させたことでも知られています。このような人道的な姿勢は、ボイルの政治的立場においても重要な側面を示しています。

最後の年

1673年にはリムリック県主席治安判事に任命され、1679年までその職につきました。この頃、彼は権力の乱用を批判されることもありましたが、チャールズ2世の介入により弾劾は中断されました。ロジャー・ボイルは1679年に死去し、その後彼の長男がオーラリー伯爵の地位を引き継ぎます。彼と妻との間には多くの子供があったことから、ボイル家はその後も続いていくことになります。

結論

初代オーラリー伯爵ロジャー・ボイルの生涯は、彼が関与した無数の政治的事件と、周囲との関係性によって彩られています。彼の果たした役割は、アイルランドだけでなくイギリス全体の歴史に留まることなく、後世に語り継がれるべき重要なものでした。

もう一度検索