ロストフ・ナ・ドヌ市電

ロストフ・ナ・ドヌ市電の概要と運用

ロストフ・ナ・ドヌ市電（Ростовский трамвай）は、ロシア連邦のロストフ・ナ・ドヌ市内を走る路面電車です。この市電は、ロシア国内で唯一の軌間1,435mm（標準軌）に基づいた路線網を有し、特異な存在として注目されています。

歴史的背景

ロストフ・ナ・ドヌの交通手段としての市電の始まりは、1887年に開通した馬車鉄道にさかのぼります。この路線はその後、1901年12月20日に電化され、翌年の1902年1月2日から本格的な旅客営業が開始されました。開業以来、軌間は標準の1,435mmを維持しており、ソビエト連邦時代に多くが変更される中でもその特性が保たれています。

開業後、市電の路線網は拡大を続け、1980年代には約120kmに及ぶネットワークが構築されました。しかし、その後のソビエト連邦崩壊に伴い、利用者数は減少し、路線廃止や車両リタイアが進行しました。1998年までに17系統が8系統に縮小され、その原因にはミニバスとの競争、交通渋滞やダイヤの不確定性、劣悪な軌道状況が挙げられます。

2006年にはメトロトラム化計画が提案されましたが、この計画は実現には至っていません。利用者数の減少は続き、2010年には約145万人だった年間利用者数が、2018年には73万人にまで減少しました。この現実を受け、地元のメディアからは市電廃止の提案も出ていますが、ロストフ・トランスポートは今後も市電の維持を目指す方針を示しています。

運用情報

2020年時点で、ロストフ・ナ・ドヌ市電は都心部の環状線を中心として複数の支線を運行しています。運賃は現金またはクレジットカードでの支払いが17ルーブル、交通カードやスマートフォンアプリを使用すると半額の8.5ルーブルとなります。

車両情報

ロストフ・ナ・ドヌ市電では、高性能な路面電車車両として知られるタトラカーが多く使用されています。その中でも、タトラT1はソ連において初めて導入された型式であり、タトラT3は特に多くの車両が導入されてきました。

さらに、近年では超低床電車71-911E（シティスター）が導入され、旧型車両の大部分を置き換えています。この新型車両により、運行効率や乗り心地の向上が図られることとなりました。2020年時点では、数種類の車両が現役で使用されています。

加えて、近い将来にはロストフ・ナ・ドヌ市電向けに76両の新型3車体連接車の導入が予定されており、今後の運行に大きな変化をもたらすことでしょう。

結論

ロストフ・ナ・ドヌ市電はその豊かで多様な歴史を持ちながら、現代の交通ニーズに応じて進化を遂げています。定期的な更新や維持管理を行いながら、地域の公共交通機関としての役割を果たし続けています。

もう一度検索