ロストワックス

ロストワックス鋳造

ロストワックス鋳造（Lost-wax casting）は、ロウ（ワックス）を使用して造形を行う特徴的な鋳造手法です。この方法では、まずロウで原型を作り、その表面を鋳物砂や石膏などで覆って固めます。次に、その構造全体を加熱することで、内部のロウを融かし出します。その後できた空洞に溶融金属を注ぐことで、原型と同じ形状の金属鋳物が完成します。

この鋳造法の最大の利点は、抜き勾配やアンダーカットに関する制約が少ない点です。さらに、収縮率を予測してあらかじめ原型を作成することで、非常に複雑な形状の製品を一つの塊として効率良く鋳造できるため、製造工程を削減することが可能です。さらに、原型がロウ以外の素材で作られている場合、シリコーンゴムを用いて型取りし、その後ロウと置き換えることで、多数のロウ原型を量産することが実現できます。

歴史

ロストワックス鋳造は、古くから仏像の鋳造技術として利用されており、長い歴史があります。産業革命以降、産業界では複雑な形状の鋳造品に対する需要が高まる中で、この技術はさまざまな分野に応用されるようになりました。

工程

ロストワックス鋳造の基本的な工程は以下の通りです：
1. ロウで原型を作る: まず、鋳造したい形状に合わせてロウで原型を作成します。
2. 型を作成: 原型の周りを型材で覆います。使用される材料にはシリカ、水ガラス、石膏などがあります。
3. ロウの除去: 型が固まった後、内部のロウを熱で融かして取り除き、型の中に空洞を作ります。
4. 金属の流し込み: 作成した空洞に溶融金属を流し込み、型を満たします。
5. 仕上げ加工: 型を取り外し、完成した鋳物の形を整えます。

銅製リンゴの作成例

具体的な製造に関する実例として、銅製リンゴがあります。この場合、ロストワックス鋳造を用いて、華やかなデザインのリンゴを効率的に作り出すことができます。ロウでの原型作成から始まり、その後の工程を経て、最終的に美しい銅製の作品が完成します。

用途

ロストワックス鋳造は、その特性から非常に多様な分野で使用されています。特に複雑な形状を持つ製品に適しており、以下のような用途で利用されています：

• - 美術工芸品（ブロンズ像やガラス工芸など）
• - ゴルフクラブ
• - 鉄道模型のパーツ など

この難易度の高い鋳造方法は、高い精度と芸術性が求められる場面で特に重宝されています。鋳造業界では、関連する技術としてインベストメント鋳造や精密鋳造も存在しますが、ロストワックス鋳造はその中でも特に人気があります。その柔軟性と高い技術力から、様々な製品の製造に利用され続けています。

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