ロストヴェツ (ルーシ)

ロストヴェツは、かつてキエフ・ルーシに存在した都市であり、ローシ川の上流に位置していました。この都市は、キエフ公国の領土の一部であり、ルーシの地と遊牧民の勢力圏との境界線上に築かれた防衛都市として重要な役割を担っていました。

特に、ロストヴェツは沿ローシ川防衛線における要塞都市として機能し、周辺地域の安全を確保するための拠点となっていました。この地域には、ルーシ諸公と同盟関係にあったテュルク系の遊牧民であるベレンデイ族やトルク族も居住しており、彼らとの協力関係もロストヴェツの防衛機能にとって不可欠でした。

歴史的には、1176年にキエフ公国とポロヴェツ族との間で激しい戦闘（ロストヴェツの戦い）が行われました。この戦いにおいて、ポロヴェツ族が勝利を収め、ロストヴェツを含む地域に大きな影響を与えました。

しかし、ロストヴェツは現存しておらず、その正確な位置は特定されていません。研究者たちは、現在のウクライナ、ヴィーンヌィツャ州に位置するマラヤ・ロストウカ村付近、またはジトーミル州に位置するロスタヴィツャ村付近が、かつてのロストヴェツの所在地であったと推測しています。これらの地域は、地理的な条件や歴史的な記録に基づいて、ロストヴェツが存在した可能性が高い場所として考えられています。

ロストヴェツは、キエフ・ルーシ時代の政治、軍事、文化を知る上で重要な手がかりとなる都市であり、今後の研究によって、その詳細な歴史や役割がさらに解明されることが期待されています。

もう一度検索