ベレンデイ族

ベレンデイ族：ルーシ南部の遊牧民

ベレンデイ族は、11世紀から13世紀にかけてルーシ南部のステップ地帯で活動したテュルク系の遊牧民です。その起源はオグズ族から派生したと考えられていますが、正確な語源は未だ特定されていません。

歴史

年代記における最初の記録は1097年。トルク族やペチェネグ族と共に、テレボヴリ公ヴァシリコと結び、同盟軍として登場します。その後は、ルーシ諸公に подчиняться兵士として、ポロヴェツ族との戦いやルーシ諸公間の争いに度々その名を見ることができます。

1139年には、キエフ大公ヤロポルクとチェルニゴフ公フセヴォロドの戦いにおいて、3万ものベレンデイ族がヤロポルクを支援しました。研究者S.プレトニョーヴァは、1121年にキエフ大公ウラジーミル・モノマフがルーシから追放した遊牧民軍事組織に対し、ヤロポルクがポロシエの牧草地帯を提供したことが、ベレンデイ族がルーシの同盟者となった要因ではないかと推測しています。

ポロシエに定住したベレンデイ族は、1146年頃にはトルク族やペチェネグ族などと「チョールヌィ・クロブキ」と呼ばれる連合体を形成し、ルーシ諸公に подчинятьсяようになりました。彼らはコルムレニエ（寄食地、封地）に居住し、トルチェスク、ロストヴェツ、サコフ、ベレンディチェフなどの都市を建設しました。

1155年、ベレンデイ族はキエフ大公ユーリー・ドルゴルーキーの軍に属しました。地名学的な調査から、ベレンデイ族の一部がウラジーミル大公国領へ移住したことが判明しています（スロボダ・ベレンデエヴァ、ポショーロク・ベレンデエヴォ、ベレンデエヴォ沼など）。プレトニョーヴァは、これらのベレンデイ族はユーリー・ドルゴルーキーとアンドレイ・ボゴリュブスキーがキエフ大公位にあった時期にポロシエから移住した可能性が高いと指摘しています。また、西ウクライナに存在する多数の地名も、チョールヌィ・クロブキから分離した一団の移住に関連すると考えられています。『イパーチー年代記』の1158年の項には、ヴォルィーニ公国軍におけるベレンデイ兵の存在が記されています。

13世紀に入ると、年代記からベレンデイ族に関する記述は途絶えます。モンゴルのルーシ侵攻の際、彼らの一部はジョチ・ウルスに同化し、一部はブルガリアやハンガリーへと移住したとされています。

関連

地名

ベレンデイ族の名残は、ロシアやウクライナ各地の地名に見られます。

派生作品

アレクサンドル・オストロフスキーの戯曲『スネグーラチカ』には、ベレンデイ族をモチーフにした「善きベレンデイのツァーリの国」が登場します。また、映画『スネグーラチカ』の撮影地であるコストロマには、「ベレンデイ文化と休息公園」が建設されました。

ベレンデイ族は、ルーシの歴史において、その興亡の痕跡を様々な形で残しているのです。

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