ロッキード L-10 エレクトラ

ロッキード L-10 エレクトラについて

ロッキード L-10 エレクトラは、1930年代にアメリカ合衆国の航空機メーカー、ロッキード社が開発した旅客機です。この機体は、当時の競合機であるダグラスDC-2やボーイング247に対抗するために設計されました。エレクトラは全金属製の単葉式航空機であり、民間旅客機としての新しい時代を切り開きました。

機体の名称

「エレクトラ」という名は、プレアデス星団に存在する星の名前に由来しています。ロッキードではその機体の愛称として星の名前がよく用いられたため、エレクトラもその伝統を受けています。

開発と初飛行

エレクトラの風洞実験は、ミシガン大学で行われ、そこでケリー・ジョンソンという学生が立ち会っていました。彼は後にロッキードに入社し、スカンクワークスを率いることになります。エレクトラは1934年2月23日に初めて空を飛び、そのデザインは彼の影響を強く受けていました。

著名な操縦士たち

エレクトラを操縦した有名な飛行士の一人が、アメリア・イアハートです。彼女は1937年に世界一周飛行を試みる中でエレクトラに搭乗しており、その際に南太平洋で消息を絶ったことで知られています。また、1936年には日本海軍が1機を輸入し、双発練習機の習得用として使用されました。これにより「ロッキード・エレクトラ飛行機」という名称が与えられ、略称はKXL1とされました。

第二次世界大戦とその後

第二次世界大戦中には、民間で運用されていたエレクトラがアメリカ陸軍航空隊に徴用され、制式名はC-36として運用されました。しかし、新しい航空技術の進展により、エレクトラは次第に時代遅れとなり、大戦の終盤には旧式と見なされるようになりました。

バリエーション

ロッキード L-10 エレクトラは、トータルで149機が製造され、多くの派生型があります。主なバリエーションには以下が含まれます：

1. エレクトラ10A
Pratt & Whitney R-985-13エンジン搭載、101機製造。軍用機としてY1C-36/C-36/UC-36に分類。

2. エレクトラ10B
Wright R-975-13エンジン搭載、18機製造。

3. エレクトラ10C
Pratt & Whitney Wasp SC1エンジン搭載、8機製造。パンアメリカン航空で使用されました。

4. エレクトラ10D
提案のみの軍用輸送機。

5. エレクトラ10E
15機製造。アメリア・イアハートが最期に搭乗した機体です。

6. XC-35
実験機で、特に過給器を搭載したモデル。現在は国立航空宇宙博物館に保存されています。

改良型としてエレクトラ・ジュニアやスーパー・エレクトラも存在します。

機体性能

エレクトラ10Aの仕様は以下の通りです：

• - 乗員: 2名
• - 乗客: 12名
• - 全長: 11.80 m
• - 全幅: 16.80 m
• - 高さ: 3.10 m
• - 翼面積: 42.6 m²
• - 空虚重量: 2,930 kg
• - 最大離陸重量: 7,955 kg
• - エンジン: 双発のPratt & Whitney R-985-13レシプロエンジン (450 hp)
• - 最大速度: 202 mph (325 km/h)
• - 航続距離: 713 mi (1,150 km)
• - 最大上昇高度: 19,400 ft (5,910 m)

このように、ロッキード L-10 エレクトラは、その革新性と歴史的意義から、多くの航空ファンや歴史愛好家に愛されている航空機です。

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