ロックンロール・オールナイト

キッスの代表曲「ロックンロール・オールナイト」

「ロックンロール・オールナイト」(Rock and Roll All Nite)は、アメリカのロックバンド、キッスの楽曲です。1975年3月19日にリリースされた3枚目のスタジオ・アルバム『地獄への接吻』に収録され、同年4月にはシングル・カットされました。さらに、翌年に発表されたライブ・アルバム『地獄の狂獣 キッス・ライヴ』に収録されたライブ・バージョンが大ヒットし、キッスの代表曲として広く知られるようになりました。

誕生の背景

この曲は、1974年10月に2枚目のアルバム『地獄のさけび』の発表に合わせて行われた"Hotter Than Hell Tour"中に、ジーン・シモンズとポール・スタンレーによって書かれました。スレイドの「クレイジー・ママ」にインスパイアされ、スタンレーがコーラス部分、シモンズがヴァース部分を書き、未完成のままお蔵入りしていた曲"Drive Me Wild"からパーツを流用して完成させたとされています。

1975年2月にツアーが終了すると、カサブランカ・レコードの社長ニール・ボガートは、チャートアクションで苦戦する『地獄のさけび』に代わる新作を速やかにレコーディングするようメンバーに要請しました。彼はキッスには「ロックンロール賛歌」のようなレパートリーが必要だと考えていました。

レコーディングの際、メンバーとボガートは、キッスのロードクルー、スタジオミュージシャン、ピーター・クリスの妻など大人数のエキストラを連れ込み、歌と手拍子で曲を盛り上げました。ロード・クルーの何人かはジャケットのジッパーを上げ下げして効果音にしたというエピソードも残っています。

リリースとチャートアクション

1975年3月19日、この曲を収録した3枚目のアルバム『地獄への接吻』が発表されました。同年4月2日には、「ゲッタウェイ」をB面収録曲としてシングル・カットされ、ビルボードシングルチャートで57位を記録しました。

ライブでの演奏

『地獄への接吻』の発表に合わせて1975年3月に始まった"Dressed to Kill Tour"ではアンコールに演奏され、同年10月に発表されたライブ・アルバム『地獄の狂獣 キッス・ライヴ』からシングル・カットされたライブ・バージョンは12位まで上昇し、キッス初のTop20ヒットとなりました。

"Alive! Tour"の途中からは、ポール・スタンレーが最後にギターを破壊するパフォーマンスが定番となりました。ノーメイク時代にも演奏され続け、『アライヴ3』（1993年）にも収録されています。1996年には『キッス・アンプラグド』からシングル・カットされたアコースティック・ライブ・バージョンが、ビルボードのメインストリーム・チャートで13位まで上昇しました。

2002年のソルトレークシティオリンピック閉会式では、エース・フレーリーが脱退する前の最後の演奏として披露されました。

オリジナルとの違い

オリジナルにはギター・ソロはありませんが、ライブでは16小節にわたるギター・ソロが挿入されるようになりました。また、オリジナルのエンディングはフェイド・アウト処理されていますが、ライブではシングルB面に収録された「ゲッタウェイ」のエンディング部分のフレーズをつなげて曲を終わらせることが多くなりました。

さまざまなバージョン

「ロックンロール・オールナイト」は、数多くのアルバムに収録されています。

『地獄への接吻』 - オリジナル
『地獄の狂獣 キッス・ライヴ』 - ライヴ
『ダブル・プラチナム』 - オリジナル
『キッス・キラーズ』 - ライヴ
『グレイテスト・キッス』 - オリジナル（リミックス）
『アライヴ3』 - ライヴ
『キッス・アンプラグド』 - Kiss Unplugged – ライヴ（アコースティック・ヴァージョン）
You Wanted the Best, You Got the Best!! - ライヴ
『グレイテストKISS』 - ライヴ
The Box Set - オリジナル&ライヴ
The Very Best of Kiss - ライヴ
『アライヴIV~地獄の交響曲』 - ライヴ（メルボルン交響楽団との共演）
The Best of Kiss: The Millennium Collection - ライヴ
『KISS・ゴールド』 - ライヴ
Kiss Chronicles - オリジナル
Kiss Alive! 1975-2000 box set - ライヴ（シングル・エディット・ヴァージョン）
Kiss Alive 35
『地獄烈伝 〜ニュー・レコーディング・ベスト〜』 - ニュー・レコーディング

ライブ・バージョンのギター・ソロとコーラス部分は、「デトロイト・ロック・シティ」の冒頭部分にも使用されています。

カバー・バージョン

この曲は、さまざまなアーティストによってカバーされています。

ポイズン - 『映画「Less Than Zero」サウンドトラック』（1987年）収録
トード・ザ・ウェット・スプロケット - 『トリビュート -KISS MY ASS-』（1994年）収録
* ザ・サマー・セット - Punk Goes Classic Rock（2010年）収録

「ロックンロール・オールナイト」は、キッスの代表曲としてだけでなく、ロックの歴史に残る名曲として、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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