デトロイト・ロック・シティ

デトロイト・ロック・シティ (Detroit Rock City)

「デトロイト・ロック・シティ」は、アメリカのハードロックバンド、KISSが1976年に発表した楽曲です。アルバム『地獄の軍団』のプロモーション用シングルとしてリリースされました。ポール・スタンレーとプロデューサーのボブ・エズリンによって制作されました。

概要

この曲は、当時のKISSのレパートリーとしては珍しいアップテンポのシャッフルビートが特徴です。歌詞の内容は、KISSのコンサートへ向かう途中で交通事故で亡くなったファンに捧げられたもので、悲劇的なテーマを扱っています。

アルバム『地獄の軍団』に収録されたバージョンでは、冒頭に車でのドライブシーンが挿入され、カーラジオから「ロックンロール・オールナイト」が流れる演出が施されています。終盤には、トラックとの衝突事故、ガソリン漏れ、そして大爆発という衝撃的なサウンドエフェクトが展開され、ドラマティックな物語を演出しています。

また、「ラブ・ガン/アライブIIツアー」では、ポール・スタンレーが歌詞の一部を「I know I'm gonna die, and I don't care!」と変更して歌唱しました。

チャート・アクション

「デトロイト・ロック・シティ」は、長年にわたりKISSのコンサートのオープニングナンバーとして演奏され、バンドの代名詞とも言える楽曲です。しかし、シングルとしてリリースされた当時はヒットせず、デトロイトのラジオでわずかに放送された程度でした。

代わりに、シングルのB面に収録されていたピーター・クリスのバラード「ベス」が人気を集め、最終的にはA面とB面を入れ替えて再リリースされることになりました。

その他

「デトロイト・ロック・シティ」は、VH1が選ぶ「最も偉大な40のメタルソング」で6位にランクインするなど、音楽業界からも高い評価を得ています。

また、MLBのデトロイト・タイガースは、ホームゲームの試合開始時にチームがグラウンドに入る際にこの曲を使用しており、ラジオやテレビでの試合放送時にも最終イニング開始前にこの曲を挿入しています。NHLのデトロイト・レッドウィングスも、試合開始前のフェイスオフ前にこの曲を流すなど、地元デトロイトでは非常に馴染み深い楽曲です。

1999年には、この曲と同名の映画『デトロイト・ロック・シティ』が公開されました。1978年を舞台に、KISSのファンである10代のグループが、バンドのコンサートを観るためにデトロイトへ向かうストーリーを描いています。

さらに、ビデオゲーム『Guitar Hero II』、『Rock Band』、『Rock Revolution』にも使用され、幅広い層にその名を知らしめました。

ジーン・シモンズ主演のドキュメンタリー『Gene Simmons Family Jewels』のエピソードでは、KISS自身がこの曲を演奏する姿が収録されています。

カバー・バージョン

「デトロイト・ロック・シティ」は、数多くのアーティストによってカバーされています。以下はその一部です。

ザ・マイティ・マイティ・ボストンズ - KISS MY ASS
Hayseed Dixie - Let There Be Rockgrass
Alien Fashion Show - "Detroit Swing City" (single, 1998)
ハンマーフォール - Crimson Thunder (bonus track)
Radio Cult - "Grooves From The Grave" (2008)
レス・ザン・ジェイク - "Gainsville Rock City"
Bullet LaVolta - Gimme Danger / Hard to Believe: Kiss Covers Compilation
ディー・スナイダー - Spin the Bottle
レーサーX - Live Extreme Volume II
GO!GO!7188 - 「虎の穴2」：この曲の演奏に乗せて中森明菜の「飾りじゃないのよ涙は」を歌う
* ピンク・クリーム69 - 36°/140°

「デトロイト・ロック・シティ」は、KISSの代表曲としてだけでなく、ロック史においても重要な楽曲として、今後も多くの人々に愛され続けるでしょう。

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